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医療の本音

 日本の救急・外傷外科の第一人者で、ドラマ「コード・ブルー」の医療監修を務めた松本尚さんが、医療現場を巡る本音をさまざまな角度から語ります。毎日新聞紙面で掲載される記事を医療プレミアサイトに転載するとともに、当サイト独自の記事も掲載します。

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医療の本音

検査至上主義の愚=松本尚(日本医科大学救急医学教授)

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 転んで頭を打ったという幼児が受診してきました。意識はしっかりしていて手足の動きにも問題はありません。「24時間、明日の今ごろまで注意深く様子をみて、問題が無ければ大丈夫でしょう」と話すと、お母さんは不服そうに「コンピューター断層撮影(CT)は撮らないんですか」と質問してきます。

 医学的にその必要性が無く、CTの被ばく量はレントゲン撮影よりも大きいことなどを説明しますが、「何かあったらどうするんですか」と。医療には「絶対」とか「100%」はなく、こう言われると自己防衛のため、ほぼ結果のわかっているCTをすることになります。

 日本は人口100万人あたりのCT保有台数が111・5台と、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最多です(2017年)。2位のオーストラリアは64・3台、3位の米国は42・7台なのでその数は群を抜いています。このことが安易なCTを助長する一因になっていることは間違いないでしょう。

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