国学院大助教の町田樹さん(30)が11月23日、府中の森芸術劇場(東京都府中市)で「マルチメディア時代のフィギュアスケート」と題して講演した。そこで明かされたのが、2018年平昌冬季五輪などで務めたフィギュアスケート解説の舞台裏。ネット交流サービス(SNS)でたたえられた「神解説」はどのように作られたのか。【芳賀竜也】
「00年代後半にスマートフォンが出現して以降、私たちは多くの情報をインターネットから取得するようになりました。そしてパソコンやタブレット、スマートフォンなど端末が進化するのに伴い、雑誌、新聞の多くが電子化される傾向にあります。毎日、朝日、読売、産経、日経といった国内5大新聞も近年ではデジタル新聞に力を入れています。確かにこうした伝統的なメディアが発信する情報は、たとえデジタル情報であったとしても、確実にアーカイブ(保存)される傾向にあります。しかし、インターネットに流通している情報の多くには、永遠に残されるという確証はありません。残されたとしても、容易に情報の改変が可能であったりします。つまり、これだけインターネットというテクノロジーが発展しても、アーカイブという点でデジタルメディアはまだまだ頼りないのです。嫌なことはデジタルタトゥーとして残ってしまうんですけどね。本当に難儀な時代になったものです」
フィギュアスケート専門誌「ワールド・フィギュアスケート」の創刊20周年を記念し、発行する新書館が講演会を開催した。序盤では、国内で定期刊行されているフィギュアスケート専門誌の分析結果が披露される。現在、その数は13誌。「驚きですね」と町田さんは言う。そして、その13誌を四つのカテゴリーに分類。①競技会やアイスショーなどイベントを軸に編集②選手のインタビューを基本に編集③少数限定の選手の写真とインタビューが中心④特定選手の写真集として機能――の4分類で、ワールド誌は①に該当する。
「現代スポーツは、する人、見る人、支える人の3者によって成り立っていると考えられていますが、ほとんどの雑誌に共通して言えることは、主な読者としてフィギュアスケートファン、あるいは特定選手のファンと、競技を見る人しか想定されていないということです。また、このような傾向も見られます。このずらっと並んだ表紙を見れば一目瞭然なんですが、国内雑誌で取り上げられてい…
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毎日新聞東京本社運動部副部長。1976年、北海道生まれ。2002年入社。北海道報道部を振り出しに東京運動部で水泳、フィギュアスケート、東京社会部で東京都庁を担当。東京パラリンピック取材班デスク。五輪・パラリンピックを夏季2回、冬季4回取材。初取材の06年トリノ冬季五輪では入国直後に迷子になり、気付くと中国チームの選手村にいた。
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