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社説

バイデン次期政権人事 多国間主義で秩序安定を

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 バイデン次期米大統領が政権発足に向けた準備を進めている。国務長官など外交や安全保障を担当する主要高官候補を発表した。

 国土安全保障長官に中南米系移民、国家情報長官に女性、国連大使に黒人女性を抜てきし、多様性を重視する布陣となった。

 移民政策や国際問題に取り組む高官をまず発表したのは、「米国第一」を掲げるトランプ政治の転換をアピールする狙いもあろう。

 目を引くのが、気候変動問題担当の大統領特使を新設し、民主党重鎮で知名度のあるケリー元国務長官を起用することだ。

 オバマ前政権で地球温暖化対策のパリ協定締結に尽力したほか、欧州と中露を交えたイラン核合意を主導した実績がある。

 こうした多国間の枠組みから離脱し、単独主義にまい進したのがトランプ政権だ。国際社会は混乱し、世界秩序は不安定化した。

 ケリー氏はこの路線を転換し、自由貿易と民主主義を土台とする国際秩序の再構築に向け、多国間外交をけん引する役目を担う。

 バイデン氏が「同盟国と協力するときの米国は最強だ」と言うのも、日本にとっては心強い。

 ただし、具体的にどんな役割を国際社会で果たそうとしているのかを見極める必要がある。

 国務長官に指名するブリンケン元国務副長官は、オバマ前政権の「アジア回帰」政策の立案に深く関わったアジア通で知られる。

 しかし、この4年間で中国の台頭は加速し、ロシアの存在感が増した。感染症や世界経済の格差、核軍拡など課題も膨らんでいる。

 次期政権は中国をにらみ、「自由で開かれたインド太平洋」構想を継承するという。ただ、陣頭指揮をどこまで執るかは不明だ。

 ブリンケン氏が描くのは、欧州とアジアの同盟国を連携させる「新たな同盟の枠組み」だ。同盟国の負担はより増大するだろう。日本も米国に依存するだけでは機能的な同盟関係を構築できまい。

 政権移行作業を公式に許可したトランプ氏だが、アフガニスタンの駐留米軍削減など論争のある政策を駆け込み的に実施し、議会の反発を招いている。

 次期政権の外交に支障を与えてはならない。政権移行が円滑に進むよう、自制すべきだ。

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