「5000円でもできる」強弁 桜を見る会迷走、はぐらかしの菅氏答弁を振り返る
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

安倍晋三前首相の後援会が地元支持者らを招いて開いた「桜を見る会」の前夜祭を巡り、安倍氏側がホテルに支払った費用の一部を補塡(ほてん)していたことが明らかになった。菅義偉首相はこれについて「前首相の関係団体のこと」と突き放し、真相解明のための参考人招致についても、「国会が決めること」と人ごとに終始している。だが、「桜を見る会」の問題は前夜祭だけにとどまらない。招待者選定の責任者である官房長官として、会を巡る数々の疑惑に関わってきたのが菅氏その人だ。一連の問題に菅氏はどんな発言をしてきたのか。振り返るとともに、その責任を考えてみたい。【生野由佳/統合デジタル取材センター】
招待者名簿廃棄を「適切に管理」?
桜を見る会の問題は2019年11月8日、田村智子参院議員(共産党)の参院予算委質問で表面化した。「主役」は安倍前首相ではあったが、菅氏は政府のスポークスマンかつ招待者選定責任者として、国会や記者会見で追及を受けてきた。
中でも菅氏が激しい批判を浴びたのが、桜を見る会の招待者名簿を廃棄していた問題だ。この問題では、招待者の中に安倍氏ら政権幹部の「招待枠」が存在し、事実上税金を使って支援者を接待する場になっているのでは、との疑惑がかけられている。その解明のカギとなる招待者名簿を、あろうことか共産党議員が国会質問に向けて資料を要求した19年5月9日のその日、内閣府職員がシュレッダーにかけていた。同年11月14日に野党4党が開いた合同ヒアリングで内閣府が明らかにし、発覚した。
菅氏は当時、官房長官としてこの文書を所管する立場にあった。野党議員の「(天皇、皇后両陛下主催の)園遊会の招待名簿は30年間保存なのに、桜を見る会はなぜ廃棄されているのか」との追及に、菅氏は「個人情報を含んだ膨大な文書を適切に管理する必要が生じるため、内閣府は遅滞なく廃棄している」と答弁(同年11月12日、衆院本会議)。野党席から「ありえない」と大きなヤジが飛んだ。その後も追及は続いたが、「ルールに基づき破棄した」との答弁を繰り返し、現在に至るまで「証拠隠し」との疑念は拭えていない。
名簿の管理以前に、そもそもの招待者選定を巡っても、安倍氏のみでなく菅氏が大きな力を握っていたことがわかっている。菅氏自身の説明や毎日新聞の取材によると、与野党の国会議員は「招待券がほしい」と菅氏に…
この記事は有料記事です。
残り2327文字(全文3313文字)