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社説

児童虐待が過去最多 質量ともに体制の強化を

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 児童相談所(児相)への虐待相談件数が、過去最多を更新し続けている。昨年度は19万件を超え、前年度より2割増加した。

 子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の増加が目立つ。身体的虐待や、ネグレクト(育児放棄)なども増えている。

 虐待への対応で中心的な役割を果たす児相の体制強化が必要だ。

 政府は、児童福祉司を2022年度までに約2000人増やし、5000人強に拡充する計画だ。

 ただ、児相の新設が進む東京23区などでは、職員確保に苦労している。相談の増加ペースが加速していることも踏まえ、国は人材育成にさらに力を入れてほしい。

 勤務年数が3年未満の児童福祉司が増えており、今年4月時点で半数を占める。経験不足が原因で、保護者との意思疎通に支障が出ることも懸念される。職員の増員だけでなく、虐待対応の「質」を上げることも重要だ。

 指導役のベテラン職員を偏りなく配置することや、研修の充実が欠かせない。数年で職場が変わる人事を見直し、経験が積みやすい環境の整備を急ぐべきだ。

 ストレスが大きい仕事だけに、職員のメンタルケアの仕組みも求められる。

 18年度には、心中事件を除く虐待で54人が亡くなった。死因はネグレクトが最も多い。背景には望まない妊娠や、子育て家庭の孤立化がある。

 このうち、事前に児相が関与できていたのは3割にとどまる。市区町村は妊娠期から相談できる窓口の周知や、乳幼児健診を受診していない家庭への働きかけを強化すべきだ。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響も懸念される。在宅勤務中の親に暴力を振るわれたケースが出ている。支援が必要な家庭でも、感染が不安だという理由で、児相職員の訪問を断る例があるという。虐待が埋もれてしまっていないか注意が必要だ。

 児相や市区町村は、学校や保育所、子ども食堂などの民間団体と連携し子どもを見守ってほしい。

 保護者でなくとも連絡できる虐待の相談ダイヤル「189」がある。社会全体で地域の子どもに目を配ることも大切だ。

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