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(角川新書・990円)
身近で生活を支えるものの危機
子どもの頃の思い出には「お砂場」がつきものだ。水で少し湿らせてつくった山にトンネルを掘った仲間と両側から入れた手を握り合った時の嬉(うれ)しかったこと。砂はいつも身近にあり、変わらないものとして存在していたのだ。
天然資源の枯渇については多くが語られているが、ありふれたものの代表と思っていた砂が争奪戦の中にあり、「21世紀の最重要の資源のひとつとして注目を浴びている」ことは本書で初めて知った。
「砂がなければ私たちの日常が成り立たないところまで砂に頼りきった生活」の具体を見ていこう。最大の用途は砂をセメントで固めたコンクリートである。都会のビル群はまさに砂の固まりなのである。今日も世界の各地で建設されているであろうビルを思うと、砂の枯渇が現実味を帯びてくる。
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