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モデルで女優、歌手に映画監督、次は小説家? 池田エライザ、24歳の素顔とは

映画「夏、至るころ」で監督デビューした池田エライザ=東京都中央区で2020年11月20日、竹内紀臣撮影

 池田エライザは何者か。モデルで女優、歌手、グラビアページを担当するカメラマン、雑誌に連載を持つエッセイスト。そして今度は、映画監督としてデビューした。12月4日公開の「夏、至るころ」は、故郷・福岡県を舞台とした青春映画だ。24歳、多彩な才能を発揮するカリスマの、素顔に迫った。【勝田友巳】

コロナ禍で未来が見えない今、自分の“エンジンの核”を思い出して

 「監督になりたい」と語ったインタビューがプロデューサーの目に留まり、白羽の矢が立った。「地方、食、高校生」をテーマとした「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズ第2弾。田川市の仲良しの高校3年生、泰我(石内呂依)と翔(倉悠貴)が主人公だ。公務員になるために進学を決めた泰我と、将来に迷う翔が、自分の道を歩き始めるまでを描く。

 ◆シナリオハンティングに行って、田川市の中学生と高校生、20代の人に座談会を開いてもらったんです。街の印象や将来の夢、最近奇麗だなあと思ったことっていうような話をして。

 その中に、将来の夢は公務員って即答した中学生がいたんです。子供が公務員って言うと、感心する大人もいれば寂しく感じる人もいるじゃないですか。でもそれは周りの見方。彼も、安定した職に就くことが良しとされる世の中の意見は知っているし、親も喜ぶ。でも、自分の心を通してないわけではなくて、地域のために働くことに誇りもあると。そのバランス感覚に感銘を受けました。そんな出会いから泰我が生まれました。対する翔は、情報過多の世の中で手放しに夢を語れなくなってる若者。この2人なら、きっといい化学反応を起こすだろうと思った。

 コロナ禍で何が起こるか予測できないから、みんなこれからの心配ばかりしてますよね。未来はもちろん大事なんだけど、過去に置いてけぼりにしてきたものを回収してない気がする。自分のエネルギー源というか、エンジンの核みたいなもの。ちっちゃい時に、絶対こうなるぞと思ってたこととか。ド王道の青春映画を見て、自分を思いやる時間に充ててほしい。誰かの人生をじっくり見つめて、自分の人生も見つめられたらいいなあなんて。純粋な映画です。

撮影現場ではジャンヌ・ダルクのように 迷いなく突き進む

 スタッフをまとめ現場を仕切り、俳優から演技を引き出す監督は、映画製作の神のごとき存在だ。全てを決定するが、揺らげば現場は崩壊する。初めての大役に、不安はなかったのだろうか。

 ◆そんなひまなかったですね。ジャンヌ・ダルクのように突き進む、360度周りを見て、右に行くのか左に行くのか、方針を伝えて士気を上げる。人のためにできることを考えてる時間が好きで、監督をやることの幸福感が大きかった。

 あの監督のこれを参考にしようとか、細かいことは考えなかった。役者が繊細な仕事だと分かっているので、それを邪魔しない。そういうことに注力しました。スタッフを選んだ時も、どならない、当たらない、理不尽なことで立ち止まらないことを考えた。コンプライアンスとかいうより、円滑に現場を進めるために。

撮りたい画はいっぱいある。でも今回は我慢しました

 初監督とは思えない、堂々たる演出ぶり。映画好きを公言し、アート系の監督の名前がポンポン出てくる。カット割りをしない長回しの場面が印象的だ。

 ◆アートっぽいことは、すべて我慢しました。レオス・カラックス監督とか「モテキ」の大根仁監督とかがやってたみたいに、踊りながら走るとか超かっこいい、あこがれるとか思ったんですけど、田川市に貢献して、人の心に触れる映画を作るのが今回のわたしのお仕事かなと、さっぱりすっぱりあきらめました。

 撮りたい画はいっぱいある。でもリスペクトしてる分、パクリやオマージュ以上のアイデアが浮かばないと。だったら人の芝居を見て、演出が決められる監督でありたいですね。なんて、偉そうなこと言ってるけど、次は決まってないんですよ(笑い)。

 カットを割らなかったのは、この人を見てくださいと言いたくなかったから。誰を主軸に見るかは見る人に委ねるものだと思うし、余白を作りたかった。それが退屈だったとしても、こういう時間もあるよ、みたいな。

全カットの芝居を見届けたいから、出演はしなかった

 今回は監督業に専念。自ら出演する俳優出身の監督は、海外でも日本でも多いのに。出演しようとは思わなかった?

 ◆ワンカットだけ後頭部が出てました。出たいとは全然。全カットの芝居を責任もって見届けたいから、自分が出ちゃうと見られないんですよね。

 ビンセント・ギャロの「バッファロー'66」で、ギャロが、後ろのポケットが破れたジーンズをはいてるじゃないですか。それも自分で選んでるんですよね。その自意識が恥ずかしいーってなっちゃうんですよ。そんなズボン選んでるところ想像されたらどうしようとか。

 俳優としては、私で良ければと恩返しの精神でず…

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