会員限定有料記事 毎日新聞
活発な火山活動を続ける鹿児島市の桜島で、大規模噴火に備えて「住民主体」をキーワードにした防災訓練があった。火山活動の知見が限られる中で、鹿児島市は噴火による犠牲者を出さないための模索を続けている。中でも今回の訓練は、行政だけでは手の届かない高齢者や障害者を含め「逃げ遅れゼロ」を目指した新たな試み。島内の住民の半数以上にあたる約2000人が参加した。訓練の様子をこの目で見ようと現場を訪れた。【菅野蘭】
11月14日、島の南部にあたる東桜島町の集会所。訓練開始後の午前9時20分、地元町内会長と民生委員2人、消防団のメンバーらが集まった。「つえを使わないと歩けない状況」「妻と一緒にマイカーで避難するとのこと」など要支援者の様子を記した名簿を基に避難手段を確認しあう。
やがて防災行政無線で避難情報が流れ、参加した住民はそれぞれ避難先や連絡先を書いた「避難用家族カード」を町内会長に提出した。町内会長はカードと住民名簿を照らし合わせながら「逃げ遅れ」がないかを確認する。住民はマイカーや、市が巡回させる避難バスに乗り込み次々と避難先に向かった。
桜島の避難訓練自体は約半世紀前から続いている。近年では島民の4割近くが参加するほど大がかりな訓練だが、住民からは「毎年決められた通りに歩くだけ」との声もあった。
一方、桜島では2015年8月、5段階に分かれた桜島の噴火警戒レベルが上から2番目の4(避難準備)に初めて引き上げられ、鹿児島市は一部住民に避難勧告を出した。現在はレベル3(入山規制)に戻ったが、市は避難計画見直しに着手し、犠牲者ゼロを目指す「火山防災トップシティ構想」を掲げた。
今回の訓練は「高齢者や障害者の避難を誰が支援するか」「支援者がいない場合はどうするか」――を…
この記事は有料記事です。
残り1251文字(全文1992文字)
毎時01分更新
◇食卓のメインのドーンと 「今が旬」と聞いて僕が真っ先に思…
吉川貴盛元農相(70)が、大臣在任中に現金500万円の賄賂…
韓国のソウル中央地裁が日本政府に元慰安婦らへの賠償を命じた…