毎日新聞
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新型コロナウイルスが若者の就職に深刻な影響を及ぼしている。
来春卒業予定の大学生の就職内定率は10月時点で69・8%にとどまった。前年の同じ時期よりも7ポイント減と、リーマン・ショック後に次ぐ下落幅だ。
短大生と専門学校生はいずれも過去最大の落ち込みを記録した。
コロナで業績が悪化している旅行、航空、百貨店などの業界を中心に、企業に採用人数を抑える動きが出ているのが原因だ。
懸念されるのは、1990年代半ばから2000年代前半にかけての就職氷河期の再来である。
この時も新卒採用が絞り込まれた結果、現在の30代半ばから40代後半の人たちに非正規雇用が増えた。生活が不安定となって未婚率が上昇し、少子化を加速させた。
問題が深刻化したのは、当時の政府が有効な対策をとらなかったのが一因だ。同じ失敗を繰り返してはならない。
市場全体を見れば、近年続いてきた人手不足感がすっかり解消されたわけではない。学生と企業のマッチングが進めば、内定が増える可能性もある。
ただ、企業説明会の中止が相次ぎ、例年より両者の接点が減っている。オンラインによる説明会は増えたが、会社の雰囲気をつかめず、戸惑う学生も多い。
経済産業省は、採用を継続している優良中小企業503社をホームページ上に公表した。今後も学生が求める採用情報の収集と提供に努めるべきだ。
一方で、卒業までに就職を決められなかった学生への手当ても考えなければならない。
政府は、卒業から少なくとも3年間は新卒扱いにして積極的に採用するよう経済界に要請した。ただ、学校から離れた若者は孤立しがちだ。企業とつなぐ支援が欠かせない。
企業説明会や就職相談の情報を継続的に若者たちへ届ける仕組みが必要だ。
コロナの感染収束は見通せておらず、就職難がいつまで続くかは分からない。現在の大学3年生をはじめ、これから就職活動を行う学生たちも不安を抱いている。
この状況を長期化させず、「失われた世代」を再び生まないための対策が政府には求められる。
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