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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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インゲンマメにその名を残す…

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 インゲンマメにその名を残す中国の禅僧、隠元(いんげん)和尚は江戸前期に来日し、万福寺(まんぷくじ)(京都府宇治市)を開いた。同寺にはテーブルに大皿で供される中国式の精進料理「普茶(ふちゃ)料理」が伝わる。名物の一つが大豆や葛(くず)など植物性の素材で肉や魚に見立てた献立を作る「もどき料理」だ▲中国では古代から大豆を活用してきた。10世紀には豆腐が肉の代わりに食べられていた記録が残る。「素菜」と呼ばれる精進料理のレストランでは大豆たんぱくを使い、見栄えも食感も肉そっくりに仕上げたメニューが売り物だ▲その中国に大豆たんぱくなどを原料にした米国産のハイテク「代替肉」が進出した。健康志向のベジチキンやベジバーガーに使われ、「豆腐と代替肉のどちらが優秀か」などと話題を呼んでいる▲最新のバイオ技術を応用した代替肉は本物とほとんど区別が付かない。肉文化の欧米ではさらに議論が高まる。畜産業界はバーガーなど肉を連想させる言葉の使用に反対している。ベジタリアン(菜食主義者)以外にも消費が広がることを警戒しているのだ▲肉のうまさは捨てがたい。一方で牛のゲップが温暖化の一因といわれるなど畜産の環境負荷は大きい。地球の将来を考えれば、代替肉の普及は悪いことではあるまい▲日本でも大手ファストフードチェーンなどが代替肉を使った商品の販売や開発を進める。代替肉の製造を始めた起業家もいる。日本人は古くから納豆やみそなど大豆加工品に親しんできた。欧米よりは抵抗が少ないか。

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