クルミを食べてアレルギーを発症するケースが増えているとして、消費者庁は食品の原材料で表示の義務があるアレルギー物質に、クルミを追加する方向で手続きを進めている。健康志向を背景にクルミの輸入量は10年前に比べ倍増しており、食べる機会も増えているが、症例の増加と関わりがあるのだろうか。取材してみると、意外な関係が浮かび上がった――。
「クルミにアレルギーがあるなんて知らなかった」。埼玉県の小学3年の女児(9)の母親(46)が語る。2年前、女児が通う県外の学校で給食のメニューに使われていたクルミを食べて発症した。学校から連絡を受けて駆けつけると、まぶたが腫れ、人相も変わった女児が保健室のベッドに横たわっていた。意識がもうろうとした状態で病院に救急搬送され、クルミによるアレルギーと診断されたが、無事に回復した。母親は「娘がクルミを食べたのはその時が初めて。アレルギーはひとごとだと思っていたので驚いた」と振り返る。
食品表示法では、アレルギーによる健康被害が多く報告されている食品を「特定原材料」とし、食品表示が義務づけられている。現在は▽卵▽乳▽小麦▽ソバ▽落花生▽エビ▽カニ――の7品目が指定されている。クルミが追加されれば2008年のエビ、カニの指定以来となる。
消費者庁は国立病院機構相模原病院(相模原市)に委託し、3年ごとに食物アレルギーの全国調査をしている。18年度の調査では、食物アレルギーの発症例4851件のうち「木の実類」が前回の15年度調査の8位から4位に入った。木の実類のうち、クルミが251例と最多で約6割を占め、以下カシューナッツの82例、アーモンドの21例――と続く。また、クルミによる「アナフィラキシーショック」(急性の激しいアレルギー症状)の症例は15年度調査の7例から42例に増えた。これは既に特定原材料に指定されている落花生やエビなどの4品よりも多かった。
クルミなどの木の実類を初めて食べた子どもがアレルギーを発症するケースも目立った。3~…
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2006年入社。山形支局、さいたま支局、東京社会部では警視庁を担当し、ストーカー事件などを取材。中部報道センターを経て2018年から現職(旧生活報道部を含む)。子どもの事故やアレルギーなど食を巡る問題に関心を持っている。
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