親子関係定める特例法案「拙速だ」 日本の生殖補助医療に医療人類学者が抱く懸念

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生殖補助医療の現状などについて語る柘植あづみ・明治学院大教授=東京都港区で2020年11月18日午後2時22分、渡辺諒撮影
生殖補助医療の現状などについて語る柘植あづみ・明治学院大教授=東京都港区で2020年11月18日午後2時22分、渡辺諒撮影

 不妊治療で第三者の精子・卵子を使って出産した場合の親子関係を定める民法特例法案が、近く成立する見通しだ。長年生殖補助医療について研究する医療人類学者、柘植あづみ・明治学院大教授は、法案を巡る議論を「拙速だ」と批判する。不妊治療の費用助成拡充に向けた検討も進む中、日本の生殖補助医療の現状について柘植さんが抱く懸念とは――。【聞き手・岩崎歩、渡辺諒】

 ――精子・卵子提供を伴う医療はどのくらい普及しているのですか。

 ◆国内では第三者の精子を使う人工授精(AID)が1948年に始まり、既に約2万人が生まれたと推計されています。卵子については、無償ボランティアからの提供をあっせんするNPO法人があり、一部の医療機関では姉妹や友人間に限って実施されています。しかし、ボランティアからの提供件数は少なく、米国や東南アジア、台湾など海外へ渡航して有償で卵子提供を受ける女性も多いのが現状です。海外で妊娠した場合は、件数や成功率、健康被害すら把握できていません。

 厚生労働省の審議会の部会は2003年、条件付きで精子・卵子提供を容認し、生まれた子どもの出自を知る権利を認めることを盛り込んだ報告書をまとめ、法制化について提言しましたが実現しませんでした。17年経過した現在も、医療技術の規制や生まれた子の出自を知る権利などを盛り込んだ法律はありません。

 ――親子関係を定める現行の民法は第三者が関与する妊娠や出産を想定していません。どのような問題が生じています…

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