これは面白くなりました、と呟(つぶや)きながら、鎌足(かまたり)が両手をこすり合わせる。かと思えば、一つ二つと指を折って何事か数えてから、忙しく額田(ぬかた)を顧みた。
「まず、肝心の歌です。遷都を寿(ことほ)ぎ、飛鳥の衆を鼓舞する歌を四、五首、すぐ作って下さい。長歌だけではなく、短歌も添えるように。その方が、誰でも口ずさみやすいですから」
当節、人々が詠む歌は五音と七音を幾度も繰り返し、末尾を七音で結ぶ長歌が基本。ただ長歌の歌意を要約したり、その時の気分を気軽に詠み込める短歌も庶民を中心に多く詠まれており、歌を得意とする者は長歌・短歌双方を詠みこなすのが当然であった。
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