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女の気持ち

ボロボロの布 大阪府羽曳野市・野尻陽子(無職・88歳)

 げた箱の整理をしていたらボロボロになった緑のフェルトの布が出てきた。靴墨で汚れた布片を思わず見つめた。

 結婚するとき、近所のおばちゃんが桐(きり)のゲタをお祝いにくださり、後日、たくさんの布を持ってきて「向こうへ行ったら、皆の靴を磨くのに使(つこ)てな。10年は辛抱やで」と、ニコニコしながら言った。サラリーマンの家庭でのんびり育った私が、義父母と義弟2人がいる大阪の商家に嫁ぐと知り、「この娘、大丈夫かいな」と思ったのだろうか。

 会社勤めではなかったので、夫の靴を毎日磨くことはなかったが、舅(しゅうと)の靴を磨いたり、義弟が自分で使ったりして重宝した。実家との価値観の違いや親類とのつきあいなど戸惑うことも多かったけれど、「10年は辛抱」の言葉を折に触れて思い出した。今となっては、知らなかったこともいろいろ覚え、少しは自分を大きくすることができたのかなと思っている。

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