京都の花街・祇園。年の瀬になると街を彩ってきた紅白の「福玉」。直径20センチほどで、年末のあいさつに訪れた芸舞妓(げいまいこ)にお茶屋やなじみ客が渡す縁起物だ。最近は祇園の商店街でも扱う店は数軒に減るなか、2020年2月、長年福玉を作ってきた老舗喫茶店の店主が亡くなった。花街の伝統は移ろいゆくが、娘が新型コロナウイルス禍で得たある思いを胸に福玉作りに乗り出した。
「母はゼリー作り、ケーキは私、福玉作りは父。父は自分の楽しみでしていたので(家業として)福玉作りを継がせる気もなかったと思います。だから作り方を聞いたこともなかった。今回やってみて、ああ、父はこんなことをしてたんやなあと思いました」。祇園の喫茶店「切通し進々堂」(京都市東山区)の3代目、藤谷法子さん(43)は、今年亡くなった2代目の父・攻(おさむ)さん(享年76)に思いをはせる。
この記事は有料記事です。
残り1444文字(全文1819文字)
毎時01分更新
日本と韓国は、葛藤を乗り越えられないまま、2021年の歩み…
新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言の再発令を受け、…
終息が見えない新型コロナウイルスについて、菅義偉首相ら政府…