亡き母にささげた「大工の意地」 自力で自宅再建、楠原盛司さん 病にも打ち勝つ覚悟
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「おっかあ、どこさいる。出てこい」。絶叫が津波で破壊し尽くされた病室に響いた。東日本大震災から12日後、宮城県南三陸町の志津川病院。入院していた母いつのさん(当時91歳)を捜す楠原盛司(くすはら・もりじ)さん(73)に出会った。酒や雑貨を扱う商店を営み、女手一つで盛司さんと弟2人を育てた母だった。
2カ月後、DNA鑑定により身元不明のまま火葬されていた遺骨と再会できた。全壊した商店と自宅を前に誓った。「必ず家を自分で建ててやる、大工としての意地だ」
震災直後から多くの家屋の修復や新築が始まり、腕の良い大工として休む暇が無かった。半月板を痛め膝に水がたまっても、仮設住宅から他人の家を造る現場に向かう日々。自宅の高台移転も決まらず先の見えない生活に、飲めない酒をあおる日もあった。妻豊子さん(71)は「般若みたいな顔だったよ」と振り返る。
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