近年、将棋の楽しみ方が多様化している。一昔前は将棋と言えば「指す」ものだった。しかし今では、プロの将棋を観(み)て楽しむファンである「観る将」が増え、その存在は広く認知されるに至っている。その他にも将棋界や棋士に関する書き物を読んで楽しむ「読む将」、イベントに参加してその模様を写真に収める「撮る将」なんていう方たちもいらっしゃる。いろいろなファンがいて、将棋ファンの数だけ形が存在するといった状況だが、共通するのは我々将棋界にいる者が気づかない楽しみ方をファン自身が見いだしてくれている点である。対局中の「将棋めし」が注目を集めるとは思わなかったし、タイトル戦のおやつでネット交流サービス(SNS)が盛り上がるとは想像もつかなかった。
これはやはりメディアの功績が大きいように思う。藤井聡太2冠の活躍をニュース番組やネットの動画中継で扱っていただく機会が増えたことにより、将棋が多くの人の目に触れるようになった。ただし、これだけでいきなり今日の将棋旋風が巻き起こるわけもなく、そこには脈々と受け継がれてきた伝統や文化、情報の蓄積が欠かせない要素としてあった。特に新聞業界には将棋界は長年支えていただいており、おかげでファンとのつながり…
この記事は有料記事です。
残り783文字(全文1302文字)
毎時01分更新
河野太郎行政改革担当相が、新型コロナウイルスのワクチン接種…
日本医科大付属病院(東京都文京区)が、大学院生の医師に外来…
音楽演奏は楽器を使った「身体表現」である。中でも身体そのも…