目の前をリュック姿の女性がスタスタと歩いている。「お元気そうですね」と自転車の上から声を掛ける。「元気だよ」と、はつらつとした声が返ってきた。
三十数年前、当時の住まいの近くでご主人と小さな食堂を営んでいた人で、いつも弾けるような声で客に接していた。彼女は自分より年長だったと記憶している。すっかり白くなった髪と腰の曲がり具合から、そんなに元気ではないかもしれないと思いながら、明るい声にこちらの気持ちがふわっと温かくなった。
自分が同じように「元気ですか?」と声を掛けられたら、どう答えるだろうか? 「元気なもんか。腰は痛いし、足はよう動かん。物忘れもひどい。こんなはずじゃなかった」。そんなふうに愚痴を言い募るであろう。
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