はやぶさ2帰還へ 「すごいところに…」開発・運用担当者が流した涙
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探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから6日に帰還し、地球に試料入りカプセルを届ける。今回のプロジェクトには宇宙航空研究開発機構(JAXA)だけでなく、多くの民間企業も参加した。その中心的役割を担い、機体の開発と運用を担当したNECの大島武プロジェクトマネジャー(54)に、印象に残った場面を振り返ってもらった。【信田真由美/科学環境部】
NECは小惑星イトカワから試料を持ち帰った「はやぶさ」、金星探査機「あかつき」に続き、はやぶさ2の開発、製造、運用を受注した。大島さんは初号機はやぶさではシステムマネジャーを、あかつきではプロジェクトマネジャーを務めた。はやぶさ2には2012年の計画スタート時から携わっている。
はやぶさ2は14年12月3日、鹿児島・種子島からH2Aロケットで打ち上げられた。6年に及ぶ旅のハイライトは、リュウグウへの最初の着陸と、弾丸により舞い上がった岩石の採取だった。
「あまりにも」予想と違ったリュウグウ
大島さんによると、リュウグウはあまりにも「想定外」の場所だった。リュウグウの表面は平らな砂地だと予想していたら、実際は岩だらけ。「すごいところに来てしまった。平らなところがないのに、どうやって降りようか」(大島さん)。当初の18年10月の着陸実施予定は延期を余儀なくされた。
それでもなんとか迎えた19年2月22日の着陸当日、はやぶさ2はプログラムの一時不調で、誤った機体の位置情報を地球に送ってきた。大島さんも「今日はもう無理だな」と当初はそう思ったそうだ。
はやぶさ2がリュウグウ上空に滞在できる期間は、18年6月27日の到着から約1年半。だがこの期間の終わりに近づくにつれリュウグウが太陽に近づいてしまい、表面が着陸できない温度になると思われていた。このため、19年2月の着陸を逃すと、着陸できる回数が減ってしまう恐れもあった。だが、この時は「やり遂げたいという思いは皆同じだったが、メーカー側からリスクのある提案はできなかった」(大島さん)。
この時ばかりは…
するとJAXAからプログラムを組み直し、着陸の速度を速めることで手順を再設定する時間を稼ぎ、予定時刻に着陸できないかという提案があった。大島さんらは急きょ担当者を呼び出し、再設定に必要な時間を見積もった。その結果、10時間で着陸するところを、2倍の速度で降りれば、手順の再設定に必要な5時間を捻出できることがわかった。
「開発の議論は何日もかけて詰めていくが、この時は即断即決でいつもとは違った。…
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