子どもへの性犯罪 処分された教師や保育士が職に復帰できてしまう理由とは

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娘が性被害にあった母親らも出席して開かれた「日本版DBS」創設を求める記者会見=東京都千代田区で2020年7月14日午後、山内真弓撮影
娘が性被害にあった母親らも出席して開かれた「日本版DBS」創設を求める記者会見=東京都千代田区で2020年7月14日午後、山内真弓撮影

 子どもへの性犯罪で処分を受けた教師や保育士らが再び加害者となるのを防ぐにはどうすればよいか。与党内や関係省庁でこうした議論が本格化している。子どもに対する性犯罪は再犯率が高いとされるが、自分の犯歴や処分歴を隠したまま職に復帰することも可能だ。今年9月、文部科学省が犯罪や処分を受けた教員の免許失効期間を延長する法改正を検討していることが明らかになると「延長で再犯を防げるのか」「なぜ永久追放できないのか」と批判が噴出した。与党議員の有志らも、保育士や幼稚園・小学校教諭の免許や資格に制限をかける関連法の改正などを模索してきたが、実現は難しいのが現状だ。そこには刑罰にまつわる深い理由が存在する。

再犯率高い子どもへの性犯罪

 「性犯罪者を保育、教育現場から排除する方法がない」。今年4月以降、ベビーシッターマッチングサイト「キッズライン」の登録シッター2人が相次ぎ性犯罪の容疑で逮捕された。うちひとりは保育士。7月には被害児童の母親や保育事業者が記者会見し、再犯を防ぐための対策を関係省庁に訴えた。

 求めたのは、犯歴照会のデータベース整備と、保育・教育現場で働く人に対し「無犯罪証明書」を事業者へ提出するよう義務づける仕組みだ。英法務省の犯罪歴確認制度「DBS(Disclosure and Barring Service)」を念頭に置く。

 背景には、子どもへの性犯罪の再犯率が高いことがある。2016年の法務省法務総合研究所の性犯罪研究によると、性犯罪者の約3割は性犯罪の前科があるとされる。性犯罪での再犯が2回以上ある人のうち、同じ「小児わいせつ型」の前科を持つ人の割合は約85%と高い水準だった。

「犯歴」把握できない保育・教育現場

 しかし実際に犯歴のある保育士や教員を現場から追放するのは難しい。刑事処分や懲戒処分を受け、いったん資格が失効しても一定期間をおけば職に復帰できるケースもあるからだ。

 保育士は児童福祉法上、児童買春・児童ポルノ禁止法違反罪による罰金刑や、その他の罪で禁錮刑以上を受け、保育士登録が取り消された場合も、2年で自分から手続きを取れば再登録が可能となる。

 厚生労働省は18年、逮捕段階で勤務先の保育所が都道府県に報告を徹底するよう通知。さらに都道府県に対し、犯歴照会と登録取り消しの徹底を求めた。しかし保育士は都道府県ごとで登録するため、登録や犯歴に関する情報が自治体間で共有されなければ、2年がたたなくても別の自治体で登録して働く可能性が残る。自治体間の情報共有やその後の再登録の状況について厚労省は…

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