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前夜祭の「虚偽答弁」 安倍氏はなぜ説明しない

 「桜を見る会」前夜祭の費用を安倍晋三前首相側が補塡(ほてん)していた問題で、東京地検特捜部が安倍氏に事情聴取を要請した。

 前夜祭は、安倍氏の後援会が主催した。事務所の負担は、昨年までの5年間で800万円以上という。政治資金収支報告書に前夜祭についての記載はなく、政治資金規正法違反の疑いがある。捜査に誠実に対応するのは当然だ。

 特捜部の捜査が発覚して以降、安倍氏は国民に対して、きちんとした説明をしていない。取材に応じた際も、「もう国会で答弁している」と述べるにとどまった。

 しかし、その答弁が虚偽だったことが明らかになっている。

 国会ではこれまで、前夜祭について「(会場の)ホテル側から明細書は受け取っていない」「補塡は全くない」と述べてきた。

 さらに「後援会としての収入、支出は一切ないことから、収支報告書への記載は必要ない」と強調していた。事務所は仲介しただけであり、ホテルと契約したのは参加者だと、無理のある理屈も持ち出していた。

 一国の首相が、事実に反する答弁を繰り返してきた責任は重大だ。衆院調査局によると、「虚偽答弁」は計33回に上る。

 真相を明らかにし、虚偽答弁に至った経緯も説明しなければならない。そうしない限り、政治への信頼回復は見込めない。

 安倍氏は、閣僚らの不祥事が発覚する度に「国会議員は疑惑について、しっかりと説明していく責任を負っている」と述べていた。自ら実践すべきだ。

 菅義偉首相は今国会で「具体的な事実関係について知る立場にない」と答えた。安倍氏に説明させるよう求められても、「国会が決めることだ」と応じなかった。

 自民党の二階俊博幹事長も「ご本人が適当に判断されるだろうから、それを待ちたい」と語った。ともに、人ごとのような反応だ。

 野田聖子幹事長代行が「自らの言葉で説明責任を果たしていくべきだ」と語るなど、自民党の中からも安倍氏に対応を促す声は上がっている。

 にもかかわらず、与党は国会を閉じようとしている。虚偽答弁をそのままにしておくことは、立法府の役割を放棄するに等しい。

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