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臨時国会閉会へ 立法府軽視も継承された

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 国会での首相や閣僚の答弁は、広く国民に対する説明である。それを忘れているのではないか。

 臨時国会はきのうで実質審議が終了し、5日閉会する。野党は会期延長を再三求めたが、与党は拒否する方針を崩さなかった。

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、国民に不安が広がっている。日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人を菅義偉首相が任命しなかった問題をはじめ、多くの課題も残されたままだ。

 そんな中で早々と国会を閉じるのは到底理解できない。

 特に学術会議問題は、人事を盾に異論を封じようとする政権の基本姿勢が問われている。にもかかわらず、疑問の核心である「なぜ6人を任命しなかったのか」について、首相は「人事に関することで答えを差し控える」とかわし続けた。これでは議論にならない。

 首相はきのうの記者会見でも同じ発言を繰り返す一方、「国会でも丁寧に説明をしてきた」と語った。本当にそう考えているとすれば、その認識は間違っている。

 「答弁を控える」は、安倍晋三前首相時代に行われた「桜を見る会」の前夜祭をめぐる問題などでも多用された。

 野党の質問に直接答えず、自分に都合のいい話ばかりを並べ立てて、問題点をはぐらかした安倍氏とスタイルは違う。とはいうものの、「議論封じ」という点では菅首相も同じだろう。

 首相が強調する「自助、共助、公助」に関しても、自らの言葉をなぞるだけで議論を深めようとしなかった。元々「答弁力」が不安視されていた首相だが、早くもそれを露呈した国会でもあった。

 コロナ対策では、ワクチン接種に備えた改正予防接種法が全会一致で成立したが、それだけでよかったのか。評価が分かれる観光支援策「GoToトラベル」については国会議論が乏しいまま、政府は期限を来年6月まで延長する方針だという。

 政府を厳しく監視するのが国会の役割だ。安倍氏がないがしろにしてきた立法府の立て直しも菅政権には期待されていたはずだ。

 「国民から見て当たり前のことをする」と首相は言う。ならば当たり前の国会に戻すため、前政権からの姿勢を改めるべきである。

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