新型コロナウイルスの「第3波」で重症患者が急増しているのに伴い、全国の医療機関で病床の逼迫(ひっぱく)が深刻化している。東京医科歯科大医学部付属病院(東京都文京区)では重症者向けの病床は埋まり、新たな受け入れができない状況だ。コロナ患者以外の大きな手術なども一部断らざるを得ず、救急患者の対応は半数になった。関係者は「限界だ。今こそ経済活動よりも感染対策を優先させるべきだ」と訴える。
全国的に感染者の増加が続いた11月28日。同病院の重症者病棟では、防護服を着た医療スタッフが慌ただしく動き回っていた。ベッドで寝ていた患者が装着していた体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)を取り外すためだ。
この患者はコロナで重篤化し、11日間にわたりエクモを装着していたが、治療のかいもあり快方に向かっていた。「ゆっくり準備を始めましょう」。リーダー格の長岡英気医師はスタッフを落ち着かせるように語りかけた。
同病院では11月10日ごろから重症者向けの7床がすべて埋まり、緊急用の1床を除けば「満床」になっている。
7床の患者はいずれも症状が深刻で、12月1日時点では6人が人工呼吸器を付け、1人がエクモを装着している。重症患者の対応には人手もかかり、多い時は10人近いスタッフで1人の治療にあたる。
高齢者や基礎疾患のある人は自力で免疫を獲得する力が弱く、入院が長期化しやすい。その結果、病床の「回転率」も下がり、患者の入れ替えが進まない状況が続く。
重症者向けのベッドについては11月以降、1日2~3人の受け入れ要請があるが、すべて断らざるを得ない状態だ。
この病院では高齢者が搬送される例が増え、この2カ月間で重症患者の平均年齢は60代から70代に上がった。
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