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<教育編 インタビュー③>吉見俊哉氏がオンライン化に警鐘 「利点あるがレベルは低い」

インタビューに答える吉見俊哉・東大教授=東京都文京区で2020年11月20日、内藤絵美撮影
インタビューに答える吉見俊哉・東大教授=東京都文京区で2020年11月20日、内藤絵美撮影

 コロナ禍は大学のオンライン化を加速させた。今後、大学教育や価値観はどう変わるのか。「大学とは何か」(岩波新書)などの著書がある東京大の吉見俊哉教授(63)=社会学=に話を聞いた。

 ――大学のオンライン化をどう考えますか。

 ◆少人数の双方向型でやっていくスタイルは全く問題ない。半年続けてみての感想だが、オンライン化で学生の発言は活発化している。一人一人の学生が何を分かっていないか、どこが問題なのかといったことも把握できるので、授業の密度が濃くなる。一概にオンライン授業が対面型より劣るということはない。だが、全国の大学で導入が進んだことで、二つのことがはっきりしてきた。一つは、学生がどこでも授業にアクセスできるという利点があること。もう一つは、全体的にオンライン授業がつまらない、授業のレベルが低いということだ。

 ――授業へのアクセス面について詳しく教えてください。

 ◆東北や九州などの地元に帰った学生や、来日できない海外の学生も授業に参加できる。もう少し広げれば、子育て中の人や身障者といった、さまざまな理由でキャンパスに来ることができない人でも、オンラインなら授業に参加できる。だが、オンライン授業は2種類ある。一つは同時双方向型、もう一方はオンデマンド型だ。この二つは同じオンラインでも似て非なるものだ。双方向型は空間は共有していないが、時間は共有している。オンデマンド型は時間も空間も共有しておらず、情報だけを共有している。時間を共有していないのは大きい。

 ――オンデマンド型の問題点とは何でしょうか。

 ◆配信された動画を学生たちは好きな時に見ることができる。それも2倍速、3倍速で見る。先生はパソコンの前で一生懸命講義をして配信しているが、学生は熱演している先生の姿をスキップし、試験に出そうな重要なところをつまみ食いして、頭に詰め込む。本の飛ばし読みと同じだ。これが大学の授業か、と僕は疑問を持つ。

 ――オンラインでは毎回リポートが課されるなど、課題の多さも指摘されています。

 ◆大学のオンライン化は、日本の大学が抱える構造的な問題を浮き彫りにした。最大の問題は、1週間に履修している科目が多すぎることだ。1週間に11~12科目を履修している。それぞれの先生が一つずつ課題を出したら、学生はとてもこなせない。例えば米国では、学部で1週間に取る科目はせいぜい4~5で、日本の半分以下だ。海外は同じ科目を週2、3回こなして理解を深めていく。課題は必ずやらなければならない構造だ。日本では授業とは何か、という基本概念が確立されていないと思う。

 ――オンライン化で、大学の国際連携が進むとの意見もあります。

 ◆オンライン化というのは、ドラえもんの「どこでもドア」だ。空間の壁と国境が消えた。時差があるので欧米は難しいとしても、アジアとオセアニアなら、オンラインで一緒に授業をする上では問題ない。課題は…

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