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科学や医療を巡るあらゆる出来事を永山悦子・医療プレミア編集長兼論説室が読み解きます。

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本番の意地=永山悦子

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カプセルが大気圏に突入し、オーストラリア南部の上空で観測された光跡。南十字星をかすめて飛んで行った=2020年12月6日未明、JAXA提供
カプセルが大気圏に突入し、オーストラリア南部の上空で観測された光跡。南十字星をかすめて飛んで行った=2020年12月6日未明、JAXA提供

 実は、私は今ごろオーストラリアにいるつもりだった。小惑星リュウグウのかけらが入っているとみられる探査機「はやぶさ2」のカプセルが、豪南部の砂漠へ帰ってくる様子を取材したいと考えていたから。

 はやぶさ2は、世界で初めて小惑星の物質を持ち帰った「はやぶさ」の後継機。はやぶさは「実験機」の位置付けで、案の定、多くのトラブルに見舞われた。その経験を生かした「本番機」がはやぶさ2。はやぶさ2のカプセル帰還は、はやぶさの検討が始まった1985年から紡がれてきた「はやぶさ物語」のフィナーレともいえる重要イベントだった。

 私は、はやぶさが小惑星イトカワに着いた2005年から取材を始め、10年にはやぶさの帰還を豪州の現場で取材した。満身創痍(そうい)のはやぶさが、バラバラになって燃え尽きながらカプセルを届けてくれた姿に「すごい!」と息をのみ、米国などに後れを取っていると言われてきた日本の宇宙開発の意地を見た思いがした。

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