道路はきれいになったが… 陸に上がった68歳漁師が見た景色
- Twitter
- Facebook
- はてなブックマーク
- メール
- リンク
- 印刷

紅葉で色づく山々を縫うように、「復興道路」として整備された三陸自動車道を走る。宮城県南三陸町の歌津(うたつ)インターチェンジ(IC)で降りると、ほどなく「南三陸ハマーレ歌津」に着いた。3年半前にオープンした海辺の商業施設だ。目の前には漁港が広がり、防潮堤の工事も進んでいる。
ハマーレとは、仲間になるという意味の方言「はまる」や「浜」、イタリア語で海を表す「マーレ」を掛け合わせた造語。木のぬくもりが感じられる施設は建築家・隈研吾氏の設計で、日用品店やカフェなど8店舗が入る。訪れた11月14日は秋晴れの土曜日。新型コロナウイルスの感染が広がっているとはいえ、客の姿はあまり多くなかった。
「南から延びてきた三陸道がさらに北の気仙沼までつながってから、随分寂しくなったよ」。待ち合わせていた漁師の横山武志さん(68)が言う。ここは元々、東日本大震災後の2011年12月にできた復興商店街だった。かさ上げ工事に伴って海側に移り、17年4月にハマーレへ生まれ変わる。17年末、三陸道が仙台方面から歌津ICまで延び、観光客らでにぎわった。しかし、三陸道がさらに延伸して19年2月に気仙沼方面までつながると、立ち寄る人も少なくなった。横山さんは「コロナで大変な時だから、人が来ないのも悪いんだか、いいんだか」と苦笑いを浮かべる。
半世紀以上を海で過ごす
先輩記者が横山さんに出会ったのは、震災から1カ月後の11年4月15日。漁協の仲間と一緒にがれきの撤去に当たっていたところだった。家は高台にあり、家族も無事。だが、…
この記事は有料記事です。
残り1206文字(全文1860文字)
時系列で見る
-
震災遺児家庭の家計困窮 平沢復興相「問題あれば制度見直し」
85日前 -
震災遺児・孤児、家族失った喪失感深く 精神的ストレス抱える子どもも
85日前 -
孤立する父子家庭、妻子失い所得は3分の1「相談事業を増やすこと必要」
85日前 -
東日本大震災10年 被災した子どもや保護者の心はどう変化したか?
85日前 -
生島ヒロシさん 遺体見つからぬ妹の葬儀に届いた「神様からの贈り物」
85日前イチオシ動画あり -
菅首相、東日本大震災の復興状況視察 宮城・東松島、石巻両市を訪問
86日前 -
「お父さんに今も一生懸命頑張っているよと伝えたい」 災害で親を亡くした子らの思い
86日前イチオシ -
進学諦めかけたことも… 津波で母を亡くした24歳の大学院生、防災研究の道に
86日前イチオシ -
震災遺児が直面する貧困 所得200万円未満4割超、保護者の半数は非正規か無職
86日前深掘り図解あり -
道路はきれいになったが… 陸に上がった68歳漁師が見た景色
89日前イチオシ -
クリスマス用の枝物出荷、営農再開手応え 避難指示一部解除3年半、福島・浪江
92日前動画あり -
亡き母にささげた「大工の意地」 自力で自宅再建、楠原盛司さん 病にも打ち勝つ覚悟
94日前動画あり -
JR常磐線、竜田駅と夜ノ森駅の駅舎整備完了 福島復興へ希望乗せて
95日前 -
原発事故で途絶えた神楽、10年ぶりの舞 福島・富岡「地域の絆強めて」
96日前 -
岩手最後の復興住宅、完成間近 入居希望者が見学 東日本大震災
96日前 -
災害物資を離島へ 引退した宮城・気仙沼の小型連絡船「ひまわり」震災遺構に
102日前 -
サンマ不漁、それでも海と生きる覚悟 陸でできる復興探る 宮城・気仙沼
103日前イチオシ動画あり -
女川原発に見る「原発マネー」再稼働に同意せざるを得ない自治体の事情
103日前イチオシ -
台風とコロナのダブルパンチ 七転び八起きのペンションオーナー 原点に3.11
104日前