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表現者たちが転機になった一作を語ります。

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演出家 宮本亞門/4 夢のために顔を売る

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20代半ば、振付師として仕事をしていた頃の宮本亞門=本人提供
20代半ば、振付師として仕事をしていた頃の宮本亞門=本人提供

 ブロードウェーで本場のミュージカルに触れて、ダンサーとしての技術を高めようと一層努力した。やがて振り付けの仕事が増えていったが、演出家の夢をあきらめたわけではなかった。「『演出をやりたい』と言って回ったけど、笑われるだけだった。日本では劇団に入るか、自分で劇団を作って演出するのが一般的で、ダンサー出身の演出家なんて聞いたことがない。まるで相手にされなかった」

 ダンススタジオを作り、そこで舞台を作ることを考えたが、経営で手いっぱいになり、行き詰まる。一度リセットしようと27歳でロンドンに飛んだ。舞台を見ては感想を日記に書き込む日々が1年半ほど続いたある夜、不意に涙がこぼれた。「僕は何も作らず、他人の作品について語るだけで一生を終えるのか」。ふがいない自分を責め、不安を抱えながら帰国した。

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