理研の坂井南美さん 宇宙の成り立ちを化学で追究 化学学んだ記者が聞く
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夜空を見上げると、あちこちで瞬く星。それらがどうやって形作られたのだろう、と思ったことは誰しもあるのではないだろうか。その謎を「化学」によって調べる研究があるのだという。この研究で最近注目を集める理化学研究所の坂井南美(なみ)(40)さんに話を聞いた。【聞き手・野田武】
――坂井さんは11月、科学技術振興機構(JST)の「輝く女性研究者賞」を受賞されました。受賞理由が「天文学と化学を融合して新たな分野を開拓した」ということで、私も大学で化学を学んだので興味を持ったのですが、どんな研究をされているのですか。
科学技術の発展のおかげで、望遠鏡の技術も近年すごく発達して、宇宙にある物質が見えるようになってきたんです。何もないと思われていた宇宙空間にもさまざまな分子が存在し、作られていることが観測によって明らかになってきました。地上には存在しないような分子も検出されるようになり、2018年時点で約200種類に達しました。この分野は「星間化学」と呼ばれています。
――どうしてそうした研究を始められたのですか。
天文学では星や銀河のでき方を研究していますが、私が知りたかったのは「私たちがなぜここにいるのか」という疑問だったんです。人類に限らず生命や地球環境がどうやってできたのか、どれほど宇宙で普遍的に…
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