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鶏卵汚職

大臣在任中に賄賂として現金を受け取ったとして、吉川貴盛元農相らが在宅起訴されました。背景を探ります。

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元農相の現金授受疑惑 倫理観の欠如が甚だしい

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 またも「政治とカネ」を巡る問題が発覚した。

 自民党の吉川貴盛元農相が大臣在任中に、広島県の鶏卵生産大手「アキタフーズ」グループの元代表から、現金500万円を受け取っていた疑惑が明るみに出た。

 元代表は業界団体のリーダー格で、政府や国会議員に陳情を重ねていた。吉川氏への現金提供を認めているという。

 農相は畜産業の政策決定に幅広い権限を持ち、贈収賄事件となる可能性がある。東京地検特捜部には徹底した捜査が求められる。

 当時は、家畜をストレスのない状態で飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の国際的な基準づくりが進んでいた。

 基準案はケージ飼育が主流の日本の養鶏に見直しを迫るもので、業界団体が反発していた。政府は反対意見を出し、修正された。

 鶏卵の取引価格が下落した際、国が補塡(ほてん)する事業についても、業界は拡充を要望していた。

 現金の授受が政府の施策に影響を及ぼした疑いもある。きのう、衆参両院の農林水産委員会で野党が追及したが、政府側は捜査に関わるとして答弁を拒んだ。

 吉川氏は疑惑報道を受け、不整脈で入院したことを理由に、自民党の役職を辞任した。

 ただ、疑惑については、発表したコメントに「当局から説明を求められれば、誠実に対応する」と記しただけだった。

 現金の一部は、大臣室で受け取った疑いが出ている。事実関係をきちんと説明する必要がある。

 安倍晋三前政権下では、秋元司元副国土交通相が収賄罪などで、河井克行元法相が公職選挙法違反でそれぞれ起訴された。

 前首相自身、後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の捜査が続いている。甘利明元経済再生担当相は、大臣室で建設会社側から現金を受け取っていた。

 倫理観の著しい欠如の表れだ。長期政権のおごりと緩みが生み出したものではないか。検察が近年、政界捜査に慎重だったことも影響しているだろう。

 吉川氏は自民党総裁選で菅義偉首相の選対事務局長を務め、二階俊博幹事長の派閥の事務総長でもあった。疑惑解明に向け、菅、二階両氏の責任は重い。

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