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コロナと追加経済対策 規模で不安は解消されぬ

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 新型コロナウイルス禍で悪化した景気の回復を目指して、政府は追加の経済対策を決めた。第3次補正予算案などの財政支出が40兆円、民間の投資も含めた全体では70兆円超の大型対策である。

 旅行を支援するGoToトラベルを来年6月末まで長期間延長するなど、菅義偉首相肝いりの景気対策を前面に押し出した。政府は「来年度にはコロナ前の経済水準に回復させる」と強調している。

 だがエコノミストの間では、3~4年かかるとの見方が多い。景気回復を急ぎすぎると、感染対策がおろそかになりかねない。

 感染拡大が深刻化する中、最優先すべきは、逼迫(ひっぱく)する医療体制の拡充を急ぐことだ。にもかかわらず、医療機関への支援など感染対策に充てるのは財政支出のわずか2割にも満たない。

 いくら対策全体の規模を大きくしても、感染が広がってしまえば国民の不安は高まる。消費が冷え込んで景気はさらに悪くなる。

 巨額の国土強靱(きょうじん)化費用も盛り込まれた。防災対策の公共事業に今後5年で計15兆円をつぎ込む。今年度までの事業費を上回る。

 だが、積算の根拠は示していない。衆院選をにらんだ与党の歳出拡大要求に応じたものだろう。規模を膨らませる材料に使ったとみられても仕方がない。

 地球温暖化対策を支援する基金の創設に2兆円、官民のデジタル化推進にも1兆円を投じる。重要な政策だが、事業の精査はこれからだ。規模ありきでは、関係の薄い事業が紛れ込む恐れがある。

 一方、生活支援は不十分だ。

 感染拡大による消費停滞で飲食店などの失業が増える心配がある。だが、雇用を維持する企業への助成金上乗せは来年3月以降、縮小する方針だ。GoToトラベル事業の優遇とは対照的だ。

 中小企業への支援も事業転換が条件となる。飲食店がオンライン注文を受け宅配を行うことなどが想定されているが、転換は簡単ではない。人材やノウハウの乏しい中小が取り残される懸念がある。

 3次補正の財源は国債に頼ることになる。過去2回の補正で計60兆円近く発行しており、借金漬けはさらに深刻になる。いたずらに規模を押し上げると、将来へのつけ回しが増えるばかりだ。

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