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東京へ ともに歩む

毎日新聞

女子200メートル平泳ぎ決勝を制した渡部香生子(手前)。奥は2位の清水咲子=東京アクアティクスセンターで2020年12月6日、宮間俊樹撮影

Passion

シンデレラガール復活へ 競泳・渡部香生子、東京オリンピック会場でつかんだ自信

 優勝インタビューは喜びに満ちていた。東京オリンピックの会場となる東京アクアティクスセンターで開催された競泳の日本選手権(12月3~6日)。女子平泳ぎの渡部香生子(JSS)が200メートルと100メートルで優勝し、5年ぶりの2冠に輝いたのだ。「東京五輪への不安もありましたが、結果で自信がつきました。すごくうれしいです」。かつての世界女王に笑みが戻った。

 両種目を通じてストローク(腕のかき)が大きく、泳ぎに伸びがあった。3日の100メートルは、前半の0・5秒近い差を逆転して1分6秒78。6日の200メートルは序盤から差を広げ、2位を2秒近く引き離す2分23秒15で制した。いずれも東京五輪の派遣標準を上回る好記録だった。

リオデジャネイロ五輪競泳女子200メートル平泳ぎ準決勝。決勝進出を逃し、顔を覆う渡部香生子=2016年8月10日、梅村直承撮影

 9年前に彗星(すいせい)のごとく現れ、2012年ロンドン五輪に日本選手団最年少の15歳で出場したシンデレラガール。15年世界選手権では、200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した。16年リオデジャネイロ五輪では競泳女子のエースとして期待を集めたものの、200メートル平泳ぎはまさかの準決勝敗退。世界選手権の金メダルで早々と五輪代表に内定して以降、「自分が代表でいいのか」と思い悩んだことが一因だった。

 そこからは好不調の波が激しいシーズンが続いた。17年の世界選手権は代表落ち。18年ジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得したものの、19年世界選手権で再び代表落ちを経験した。「やめようかな」。何度も何度も、心は折れかけた。

 東京五輪の延期もその気持ちに追い打ちをかけた。それでも、「これまで頑張ってきたことを無駄にしたくない。その思いが一番大きかったです。この夏からスイッチが入りました」。悪癖だった競技に対する気持ちの「ムラ」はなくなり、真剣に日々の練習と向き合えるようになった。

 「メインは(代表選考のかかる来年)4月。自信を持って取り組んでいきたい。昔よりもポジティブな気持ちでできています」。そう語る表情は明るい。浮かんでは沈んできた「復活」の2文字。五輪本番会場でつかんだきっかけを、今度こそ離さない。【倉沢仁志】

倉沢仁志

毎日新聞東京本社運動部。1987年、長野県生まれ。2010年入社。高知、和歌山両支局を経て17年から東京運動部。レスリング、重量挙げなどを担当。高校時代には重量挙げで全国高校総体に出場したが、階級で10キロ以上軽い三宅宏実選手の記録には遠く及ばない。