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2020米大統領選

2020年11月に行われた米大統領選。共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン氏が争い、バイデン氏が勝利した。

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オバマ流にもトランプ流にも懐疑的 バイデン次期政権で北朝鮮拉致問題は動くのか

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バイデン次期米大統領=米デラウェア州ウィルミントンで2020年11月19日、AP
バイデン次期米大統領=米デラウェア州ウィルミントンで2020年11月19日、AP

 米国のバイデン次期政権で対北朝鮮政策がどうなるのか――。日本政府が固唾(かたず)をのんで見守っている。拉致問題の解決は菅義偉首相が掲げる「最重要課題」だが、対北圧力を強めて日本を全面支援したトランプ政権の交代はどのような変化をもたらすのか。

安倍・トランプ両政権下では進展せず

 「今はモラトリアム(猶予期間)だ」。外務省幹部は、拉致を含む北朝鮮問題の現状をこう表現する。来年1月に大統領に就任する見通しのバイデン氏に対して、北朝鮮はかつて「狂犬」とののしったこともある。だが、その北朝鮮側も今のところ静観している。北朝鮮の「沈黙」は米新政権の動向を探っている証左とも言える。

 過去の拉致問題を巡る大きな動きはいずれも米側の対応の変化がきっかけとなってきた。

 初の日朝首脳会談が実現し、拉致被害者5人の帰国した2002年は、当時のブッシュ米政権が「テロ支援国家」などへの先制攻撃に言及するなど対北圧力を強めたことが北朝鮮の日本への接近の要因となった。

 日朝両政府が拉致被害者を含むすべての日本人について包括的な調査を行うことを決めた14年5月の「ストックホルム合意」も、米国が核・ミサイル開発を進める北朝鮮を激しく非難している最中に発表された。

 米国との信頼関係を深めることで、拉致問題解決を目指したのが安倍晋三前首相だ。17年にトランプ米大統領が就任すると、経済制裁と軍事的な圧力をかけ続けるよう指南し、北朝鮮が日本に接近するような環境づくりを図った。トランプ氏が金正恩・朝鮮労働党委員長との対話路線にかじを切ると、米国経由で「核・ミサイルの問題だけでなく、拉致問題も解決されれば北朝鮮に多額の経済支援を行う用意がある」と伝達した。だが、19年2月にベトナム・ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が決裂すると「米朝間で核・ミサイル問題が動かなくなり、拉致問題まで動かなくなってしまった」(日本政府関係者)のが実情だ。

 安倍氏は同年5月、「私自身が金委員長と条件を付けずに向き合わなければいけない」と呼びかけたが、北朝鮮側から前向きな反応を得られないまま今年9月、退陣した。

 安倍氏と歩調を合わせ、拉致問題の解決を目指したのが、当時官房長官で拉致問題担当相も兼務した菅首相だった。菅首相は安倍氏の「宿題」を引き継ぎ、拉致問題解決を最重要課題に掲げている。

戦略的忍耐…

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