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日銀若手記者が直撃

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日銀若手記者が直撃

読者の疑問に答えます アベノミクスの評価が割れるのはなぜ? 立場で異なる成果と課題

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内閣総辞職の日、官邸職員から花束を受け取り官邸を後にする安倍晋三首相=首相官邸で2020年9月16日午後0時42分、滝川大貴撮影
内閣総辞職の日、官邸職員から花束を受け取り官邸を後にする安倍晋三首相=首相官邸で2020年9月16日午後0時42分、滝川大貴撮影

 日銀幹部やエコノミストに素朴な疑問をぶつける随時掲載の「日銀若手記者が直撃」シリーズ。読者に経済に関する質問を募ったところ、いくつものメールをいただいた。多かったのは、安倍晋三前首相が掲げた経済政策「アベノミクス」について「なぜ評価がこれほど二分するのか」との疑問だ。7年8カ月にわたる長期政権下で推進され、菅義偉政権が引き継いだアベノミクス。確かに気になる。どういうことか探った。

菅首相「今後も継承」

 「なぜアベノミクスに対する専門家の観察結果が正反対になるのか。ぜひ『直撃』して」(東京都大田区の男性)、「安倍氏の経済政策の評価が報道によって全く異なり、分かりにくい。かみ砕いた記事を書いて」(別の男性)――。記者の元に届いた読者のメールからは、アベノミクスの正当な評価があってこそ、菅政権の経済政策に生かせるのではないかという思いが読み取れた。

 菅首相は10月26日、臨時国会の所信表明演説で「今後もアベノミクスを継承し、さらなる改革を進める」と述べた。アベノミクスの評価について考えることは、今からでも遅くないように思う。日ごろ取材するエコノミストに見解を尋ねることにした。

成果「景気回復、ほぼ完全雇用に」

 まず話を聞いたのはBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストだ。読者からの質問を伝えると、「大事な視点ですね」と取材に応じてくれた。

 河野さんは「アベノミクスは経済政策としてうまくいった部分とダメだった部分の両方があります」と言う。簡単におさらいすると、アベノミクスは①日銀が大量の資金を供給する「大胆な金融緩和」②政府による「機動的な財政出動」③民間投資を喚起する成長戦略――の「三本の矢」を次々に放つことで、物価が下がり続ける「デフレ」から脱却し、経済を成長させようとした。

 河野さんは「第一の矢の金融緩和と、第二の矢の財政出動を続けて景気を回復させ、完全雇用に近い状態を維持しました。この点は十分にやったと言えます」と評価した。安倍氏が首相に就任した2012年末と終盤を比べると、日本経済のバロメーターといえる日経平均株価は1万円割れから2万円台に上昇。雇用も完全失業率が4・3%から19年末には2・2%に改善し、有効求人倍率は全都道府県で1倍を超えた。こうした数値に注目すると、確かに経済は上向いている。

課題「実質賃金上がらず」

 ただし、河野さんは「問題はその後です。…

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