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たんの吸引など日常的に医療的なケアが必要な子ども(医療的ケア児)に「小1の壁」が立ちはだかる。就学後、ケアできる放課後の預け先がほとんどなく、共働きの母親が離職の岐路に立たされている。新型コロナウイルスの感染拡大で経済的な負担も増え、仕事を辞めたら家計も追い込まれてしまう。「母親が働き続けられるよう医療的ケア児向け学童を設置してほしい」。幼い命をつなぐ子どもの居場所を探し、働く母親たちの苦悩が続く。【賀川智子】
来春小学生になる長女の預け先見つからず
「入学が4カ月後なのに、放課後の預け先がまだ見つかっていません……」
東京都の会社員で2児の母、村林瑠美さん(36)が心配そうに話す。来年4月、重症心身障害児の長女(6)が特別支援学校小学部に入学する予定だ。
長女は染色体異常の難病「モワット・ウィルソン症候群」で、重い心疾患などがある。寝返りと不安定なお座りはできるけれど、重い知的障害もあり言葉は話せない。1日5回ほどの胃ろうによる栄養注入やたんの吸引などのケアが欠かせない。
現在長女は公立の重症心身障害児通所施設に週5日通っている。村林さんは、訪問看護や看護師のシッターなどを利用し商社に正社員として勤務、夫との共働きだ。
長女の就学を控え、村林さんはこれまで三つの場所やサービスを検討した。
一つ目が一般的に障害がある子どもの受け入れ先である「放課後等デイサービス」。ただ、うち医ケア児に対応できるのは居住する自治体に2カ所しかなく、すでに定員でいっぱいだった。
二つ目の学童保育は医療的ケア児の受け入れがなかった。三つ目に検討した「居宅訪問型児童発達支援」サービスは、外出が困難な児童のための制度であり、長女は対象外だったという。
すべてが空振りで、村林さんは途方に暮れている。
スタッフ不足が背景に コロナが追い打ち
なぜ学童で預かってもらえないのか――。東京都家庭支援課に聞くと、…
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