「フィクションってことにしませんか」で炎上 プラットフォームメディア「cakes」 編集姿勢に批判
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「フィクションってことにしませんか」。担当編集者からそんな提案を受けたライターが、連載中止に至るまでのやりとりの一部始終を公表した。多様な分野のコンテンツを集めて急成長したプラットフォームメディア「cakes(ケイクス)」の編集姿勢が批判にさらされている。中止になった連載企画は友人の自死を巡るノンフィクションで、ケイクスのコンテストで入選していた。ケイクスでは「炎上」が相次ぎ、編集長を交代させて立て直しを図っていた矢先に、今回の連載中止が明らかになった。ケイクスで一体何が起きているのか。【待鳥航志/統合デジタル取材センター】
ケイクスは2012年にスタートしたプラットフォームメディア。小説や漫画からエッセーまで、幅広いコンテンツが人気となり、「クリエイター」と呼ばれる執筆者約1200人が記事を投稿し、現在までに1600件以上の連載が掲載されている。書籍化される連載もあり、クリエイターのデビューの場にもなっている。
10月、11月にも2度の「炎上」
まずはケイクスで続く「炎上」事件をおさらいしたい。
ケイクスでは、10月19日に公開された人生相談の連載記事で、DV(ドメスティックバイオレンス)行為などを受け夫婦関係に悩んでいた女性の相談内容を、執筆者の写真家・幡野広志さんが「大げさ」などと指摘した。これにSNSで「2次被害になる」と批判が上がり、編集部が記事を削除する騒ぎになった。この時、編集部は「事前に記事を確認できる立場」にありながら、記事が掲載されたのは「不勉強や配慮の不足」があったと釈明した。
さらに11月11日に公開された別の記事では、ライターの「ばぃちぃ」さんが取材したホームレスの人たちの生活を「異世界のよう」などと表現し、「観察を楽しんでいる」といった批判を受けた。後に「著者とホームレスの方々の関係性について説明が不足していた」として記事内容が一部修正された。
「cakes炎上と、消滅した連載」の衝撃
記者(待鳥)はヤフーに今年10月まで1年間出向し、同じプラットフォームメディアである「Yahoo!ニュース個人」の編集者もしていた。炎上は人ごととは思えない。ケイクスの事案を調べていると、対応に追われる編集部内の重苦しい雰囲気が思い浮かんできた。
10、11月のケイクスの「炎上」では、編集部が公開前に修正できなかった点も問題視された。一方で、今回の連載を一転中止としたのは逆に過剰な対応のようにも思え、右往左往している様子がうかがえた。
この問題の発端は声優で文筆家のあさのますみさんが、「cakes炎上と、消滅した連載」と題した告発記事を9日に、ケイクスを運営する「note(ノート)」社が別に運営している記事投稿サイト「note(ノート)」で発表したことだった。
その記事によれば、あさのさんは友人が亡くなったことについて今年3月、ノ…
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