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Shall・we・バレエ?

「涙で成長」ホフマンの遺言=斉藤希史子

「ホフマン物語」の振りを小野絢子(右)に指導する大原永子=新国立劇場提供

 師走の風物詩「くるみ割り人形」。チャイコフスキーの甘美な旋律に彩られた聖夜のバレエとして老若男女に愛されている。が、原作者が幻想小説家ホフマンであることはほとんど意識されない。彼の小説からは「コッペリア」も生まれており、バレエの恩人とも言うべき存在なのだが。

 そんな不遇を埋め合わせるようなドラマチック・バレエが、ピーター・ダレルの「ホフマン物語」だ。オッフェンバックの同名オペラをもとに1972年、英スコティッシュ・バレエのために振り付けられた。日本では大原永子(のりこ)芸術監督の下、新国立劇場バレエ団が2015年と18年に上演。牧阿佐美の妹分として育ち、30歳で渡英してダレルに重用された大原の思いがこもるレパートリーだ。

 からくり人形、死病を得た娘、幻影のような娼婦(しょうふ)。ホフマンの実らなかった三つの恋を、オムニバス風につづる。巡り合えた喜びもつかの間、恋人たちを引き裂く運命の悪意。新型コロナウイルスという病に侵された世界で、生活の軸足がネットの仮想空間に移り、人間同士が引き離された現在、主人公の嘆きが恐ろしい予言のごとく、私たちに迫ってくる。この年末ばかりは「くるみ」よりも「ホフマン」を見たかった。

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