活動休止前に知りたい「嵐」が愛される秘密 ラカン精神分析で読み解く

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著書などで嵐について分析している関修さん=本人提供
著書などで嵐について分析している関修さん=本人提供

 人気アイドルグループ「嵐」が今月末で活動を休止する。1999年にデビューし、今ではドラマ、バラエティー、CMに引っ張りだこの超売れっ子だ。勢いのあるアイドルグループは他にもいるが、老若男女に愛されるアイドルはなかなかいない。なぜ、嵐はこれほどまでに人気を得たのか。「ジャニーズウオッチャー」として知られ、フランスの精神分析家、ジャック・ラカンの手法で嵐を分析した著書もある明治大学講師の関修さんに詳しく聞いた。【大野友嘉子/統合デジタル取材センター】

SMAPから引き継いだ「国民的アイドル」の地盤

 ――嵐はジャニーズファンだけでなく、老若男女に広く愛されました。

 ◆嵐はSMAPが確立した「国民的アイドル」というアイドルの形態を踏襲し、それを発展させたグループです。

 従来のアイドルは女性や子どもを中心とする限られたファン層に支えられてきました。一般の人とは異なる雲の上の存在で、私生活で何をしているか分からない「スター」でした。しかし、バラエティー番組が増え、芸能人の素の顔が見られるようになり、芸能人そのものが身近な存在になってきました。

 その流れの中で誕生したのがSMAPです。キムタク(木村拓哉さん)というカリスマティックな存在を抱きながら、全てのメンバーがそれぞれの個性を打ち出し、世間一般に認知されたのです。

 嵐では、マツジュン(松本潤さん)が多少目立っていましたが、キムタクほど突出しているとは言えず、5人が横並びで仲良く活動しているイメージが強い。5人そろって日本航空やアサヒ飲料といった、ファミリー層をターゲットにした大企業の広告塔にもなっています。親近感のあるアイドルとしてお茶の間に浸透していることの証左でしょう。

嵐にみる「理想的な人間関係」

 ――バラエティー番組に出ているアイドルグループの中で、嵐はどこが突出していたのでしょうか。

 ◆5人の関係が、私たちが求める理想的な人間関係像だったからでしょう。私は著書「隣の嵐くん~カリスマなき時代の偶像(アイドル)」の中で、ラカンが提唱した「四つのディスクール(言説)と資本主義のディスクール」で5人を読み解きました。

 その一部を紹介すると、スター性を持ち、ドラマで主役を張れるマツジュンは四つの言説のうちの一つ「主人のディスクール」です。他のメンバーから一目置かれ、バラエティー番組で嵐の意見がまとまらない際にマツジュンの「鶴の一声」で物事が決まることが多くみられます。まさに嵐の主(あるじ)なのです。

 一方、…

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