「ミスコンがしんどい」学生の訴え 学問の場で開くべきなのか
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美しさを競い合い、華やかなイベントとして続いてきた大学ミスコン。しかし、その存在に疑問を感じている学生たちがいる。長らく「学生の活動」として関与をしてこなかった大学の中にも動きが起きている。ミスコンは、どこへ向かうのだろうか。【五味香織、藤沢美由紀/統合デジタル取材センター】
「参加したくない学生も巻き込まれている」
一つの声明が2020年10月下旬、インターネット上で公開された。「私たちはしんどさを感じ、コンテストがなくなって欲しいと思っています」
公表したのは、首都圏の学生で作る「ミスコン&ミスターコンを考える会」。大学のミスコン、ミスターコン全般に抗議し、東大のコンテストを主催する東京大学広告研究会や大学側に対し、開催中止を求めた。
考える会は2019年に設立され、メンバーは全員女性。これまで大学のコンテストの開催に反対し、ビラの配布やツイッターでの発信などを続けてきた。
東大2年のメンバーは、大学でコンテストを開催することについて、「容姿が重要視され、選ばれる過程で、社会で受け入れられる理想的な女性や男性のイメージが発信される。多様性を重視する学問の場であるはずの大学で、外見による差別を助長し、『こうあるべきだ』という規範を押しつけている」と問題点を指摘する。
ミスコンの是非を巡っては、「出たい人が希望して出場しているからいいのではないか」という意見もあるが、「大学で開催されることで、学生すべてから選ばれたような印象を持たれ、結果として参加したくない学生も巻き込まれている」と訴える。
2020年は、上智大や慶応大の湘南藤沢キャンパス(SFC)で、従来の評価基準を変更して社会貢献活動への取り組み方を審査対象にしたり、男女別の枠組みを見直したりするなど、新しい形式のコンテストも生まれた。別の東大2年のメンバーは「批判を受け止めて変化していること自体は、変化しないよりはいい」と評価する。一方、早稲田大2年のメンバーは「大学名を使ってコンテストを実施していることに変わりはなく、上智の場合は社会貢献という新しい規範にすり替わっただけ。外見が評価に入っている問題も解消されていない」と指摘した。
「ブスのひがみ」中傷も
こうした活動を続ける中では、嫌な思いをすることも多いという。考える会やメンバー個人のツイッターには、見知らぬアカウントから「ブスのひがみ」といった中傷のメッセージが届いた。東大の構内に11月、「顔で判断すんな」と書いた立て看板を設置したところ、落書きなどの嫌がらせも受けた。結局、今年も東大のミスコンは開催され、声明に反対する東大広告研究会や大学からの返事はないという。
ミスコン開催に対する動きは広がりつつある。お茶の水女子大の学生を中心としたグループ「OchaDiversity」は10月、お茶の水女子大のミスコン実行委員会宛てに現在の投票形式の廃止など見直しを求める要望書を提出した。東京大学新聞は4月にミスコンの是非を特集し、関西学院大学新聞も10月にミスコンのあり方を問う記事を掲載した。
「考える会」のメンバーは、「東大には1980年代…
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