東農大二・石田洸介 高校唯一の「シュガーエリート」大迫の教え胸に
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男子第71回、女子第32回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催)が20日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に行われる。今年、5000メートルの高校記録を2度更新したのが、東農大二の石田洸介(3年)だ。東京オリンピック代表の大迫傑(ナイキ)の主催する合宿に参加し、「世界」への思いを強めた18歳が、最後の都大路を駆け抜ける。
一大プロジェクトを前に石田は迷っていた。7月、マラソン日本記録保持者の大迫が、大学生以下を対象にした合宿を開催すると発表した。参加基準は5000メートル13分55秒。その直前の大会で13分36秒89を出し、高校記録を16年ぶりに約3秒更新した石田は条件を満たしていた。しかし、日程がチームの合宿と重なっていたのだ。「全国優勝を目標に掲げるチームで自分が(チームの)合宿に参加しなくていいのか」とためらった。
最初に背中を押したのは恩師の城戸口直樹監督だった。「世界を目指す上で(大迫の)肌感覚を知ることは財産になる」と説いた。その上で3年生だけでミーティングを開いた。石田の「(大迫の)合宿に行きたい」という思いに反対するものはいなかった。主将の分須尊紀は「石田はこれから日本を代表する選手になってほしい。チームで味わえないところに行って(経験を)還元してほしい」と送り出した。
8月。「シュガーエリート」と名付けられた合宿に将来有望な選手が集まった。石田は唯一の高校生。練習メニューは斬新なものではない。ただ、大迫のメニューが基準となるため、当然設定タイム、インターバルは厳しいものとなった。「大迫さんが『軽く』と言った内容が自分たちにとっては全力に近かった。レベルが違うと思った」と振り返る。
合宿期間中、石田は大迫に積極的に質問した。メンタル面、練習方法。いずれも回答の裏に「世界」を感じた。「『強くなるため』にずっとつなげていて。だからこそ上を見ないといけないと常に言われた。その単純な言葉にどれだけの重みがあるか。大迫さんだからこそ感じるところだった」。合宿終盤には石田が先頭に立って練習を引っ張ることもあった。最終日、「また会えれば」と言って充実の時間を終えた。
「また」は約1カ月後に実現した。東海大長距離競技会5000メートルで石田は大迫と同組となった。「本当について行こうと。勝ちに行った」と大迫にラスト1周まで食らいついた。結果は及ばなかったが、再び記録を更新する13分34秒74。「記録おめでとう。またどこかで一緒に走れればいいな」と大迫に健闘をたたえられた。
大迫との合宿を経て、一番の変化は「上を見る」姿勢だという。中学時代に1500メートル、3000メートル、5000メートルの三つの「中学新」を樹立した。しかし、高校1年時にはスランプに陥り、陸上をやめようかとも考えた。「原点を振り返れば自分は中学の時からずっと上の人に勝ちたいと思ってやってきた。それを見失っていた時期だった」。合宿を経て、「上」は「世界」に。そして「夢のような存在」だった大迫も「いずれは勝ちたいと思える存在」と思えるようになった。
最後の都大路は恩返しの場だ。「今まで以上に個人でさせてもらった分、(城戸口)先生、チームメート、チームにも結果を出して恩返しを」。走り抜けた道は世界にもつながっている。【生野貴紀】
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男子第71回、女子第32回全国高校駅伝競走大会に出場する注目選手を紹介します。次回は18日午後3時、女子・立命館宇治(京都)の三原梓選手を公開する予定です。
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