特集

東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

特集一覧

見つめ続ける・大震災10年

生前の娘の番号に電話する母 酒量増えた父 悲しみに夫婦で向き合う

  • ブックマーク
  • メール
  • 印刷
娘の恵美さんが納骨された供養塔に呼びかける田所寿雄さん(右)と京子さん=宮城県岩沼市で2020年11月12日、梅村直承撮影
娘の恵美さんが納骨された供養塔に呼びかける田所寿雄さん(右)と京子さん=宮城県岩沼市で2020年11月12日、梅村直承撮影

 「めぐ。めぐ。ここらへんに居るのかな。聞こえるかい」。娘の菅井恵美(めぐみ)さん(当時31歳)と娘婿が合葬(がっそう)された宮城県岩沼市の寺の供養塔に向かって、田所寿雄(ひさお)さん(74)と妻京子さん(67)は呼びかけた。同県名取市閖上(ゆりあげ)で震災の津波により犠牲となった恵美さん夫婦の遺骨を納める墓は、費用などの問題で再建できなかった。「私も死んだらここに入りたい」。京子さんは涙ぐむ。

 恵美さんは切迫流産で、心音なく生まれた。体の弱い末っ子で、特に手がかかった。嫁いでも親思いで、事あるごとに夫婦で帰ってきた。頼りにしていた娘を失った喪失感は大きく、京子さんはうつ病を患った。つながりを求めて、今も誕生日には生前の番号に電話をかける。「おめでとう」。不通の音が鳴るスマートフォンに語りかけると、いとおしさがあふれる。

この記事は有料記事です。

残り304文字(全文669文字)

【東日本大震災】

時系列で見る

次に読みたい

あわせて読みたい

この記事の筆者
すべて見る

注目の特集