「女・男の気持ち」(2020年12月10~16日、東京・大阪・西部3本社版計16本)から選んだ「今週の気持ち」は、東京本社版12月12日掲載の投稿です。
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<今週の気持ち>
お疲れさま 東京都調布市・勝佳澄さん(福祉施設職員・63歳)
90歳と95歳のとき本欄に投稿が掲載された母が11月7日、101歳で亡くなりました。10月に弱って寝ていることが多くなり、福祉施設で働く私が在宅介護を覚悟してすぐのことでした。訪問医に「老衰でご臨終です」と言われて驚くのみ。介護の代わりに片付けやさまざまな手続きをしている気分で、母を失った実感がありません。
母は医師の家のお嬢様として生まれ、戦後は連合国軍総司令部(GHQ)で働いたキャリアウーマンでした。40歳近くで出会いがあり、私が生まれたけれど結局別れて……と波瀾(はらん)万丈。母子家庭の母として、寮母や保険のセールスで生活費を稼ぎながら料理も裁縫も庭仕事もこなしたスーパーマザーでした。
私が結婚して孫が生まれると、孫育てや旅行、コーラスなどに打ち込みました。私の父に「裏切られた」といって男性を一切信用しない心は、生涯変わりませんでした。
高齢期は「適切な支援を受けて、できるだけ介護は避けよう」をモットーに暮らしました。運動をするデイサービスは90代の間ずっと通い、97歳まで家族の食事を作り、私の車で公園などへも一緒に行きました。
要支援1のまま、おむつの世話も必要とせず逝った母。100歳のとき「女の気持ち」への投稿ができなかったのがちょっと残念です。本当に、お疲れさまでした。
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<担当記者より>
娘さんに介護の手を煩わせることなく、101歳で眠るように旅立った勝さんのお母様。娘である勝さんが「実感がない」というほどあっけない、でも大往生でしたね。
お母様は90歳、95歳と節目節目に「女の気持ち」に投稿くださり、掲載されていましたが、100歳を迎えた昨年は投稿がありませんでした。どうお過ごしだったのでしょうか。
「実は100歳のときも母は投稿しようとしていて、あれこれ書きつづっていたのですが、結局まとまらず、送れなかったようです」と勝さん。「お疲れさまの気持ちを伝えたくて、代わりに私が送りました」とお母様をしのんでいました。その思い、きっと届いていると思います。これからは勝さんが節目節目に、編集部に「気持ち」を伝えてくださいね。
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