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20日開かれる女子第32回全国高校駅伝大会(毎日新聞社など主催)で、15年連続15回目出場となる大阪薫英女学院。2度の全国優勝を誇る名門だが、2018年は11位、19年は14位と近年は結果が出ていない。再び全国の「中心地」(入賞圏内)に入るため、2年がかりの取り組みの成果を出すべく、最終調整する。
「2年以内に全国の中心に返り咲く」。安田功監督と選手たちはそう目標を掲げた。安田監督は「夢物語ではなく、ある程度実現可能性のある目標を設定した」と話す。2年生からキャプテンを務めた小林舞妃留選手(3年)は当時の心境を振り返る。「部室に目標を書いた紙を貼ったけど自分たちは力がないし、この1年どうすればいいのか――」。薫英は選手の自主性を重んじるため、練習メニューの作成を含めキャプテンが仕切らなければいけない場面が多く、大きな負担になった。「結果が出ていないのにこんなこと言っていいのか。何を言っても届かないのではないか」と悩んだ。
しかし、2年の秋に記録会で自己記録を更新した時、「周りがすごく喜んでくれて自分がやってきたことは間違っていなかった」と気づき、自信になった。チームのために率直に意見を言い、当時の3年生も「何をやってもついて行くから」と信頼してくれた。19年の全国大会は14位だったが、その年の春と比べて競技力は上がった。あの日掲げた目標を見失わず、「たすき」をつないできた。
今季は新型コロナウイルスの影響で大きな大会や記録会がなくなり、結果で自信につなげる機会が減っていた。夏合宿が終わってもチーム内には「入賞と言ったけど、ほんまに行けるのか」と表情は曇る。
そんな時でも、小林選手は下を向かなかった。2年間の経験も踏まえ「やるべきことはしているから大丈夫」と伝えた。すると、9月以降、安なつ美選手(3年)や1、2年生が記録会で自己記録を出すなど数字で成果が表れ、自信をつかみ始めた。
そして迎えた11月3日の府大会。安田監督が「野球なら七回ぐらいまでゲームを作る」という安定感ある安選手に1区を任せ、さらに成長著しい1年生3人を起用した。結果は19年より1分以上速い1時間10分18秒で15連覇。「行けるんとちゃう」という雰囲気がチーム内に流れ、22日の近畿大会では1位の須磨学園(兵庫)に3秒差の2位と、さらに手応えを得た。
チームをまとめる2、3年生と勢いのある1年生が一つになった今、再び都大路で「中心地」を狙う。【荻野公一】
【大阪薫英女学院=15年連続15回目】
監督 安田功(59)
小林舞妃留<3> 9分34秒
安なつ美(3) 9分20秒 1
鎌田幸来(2)
水本佳菜(1) 9分21秒 4
西沢茉鈴(1) 9分37秒 3
薮谷奈瑠(1) 9分23秒 2
柳井桜子(2) 9分26秒 5
明貝菜乃羽(2) 9分31秒
★表の見方
左から氏名、学年(白ヌキは主将)、3000メートルのベスト記録、府大会で走った区間