特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

連載 社説

社会保障の最終報告 「全世代型」と言えるのか

 政府の全世代型社会保障検討会議が最終報告をまとめた。団塊の世代が75歳以上になり始める2022年に焦点を当てた。

 高齢者に手厚い医療保険制度などを見直して、現役世代の負担軽減と支援の拡充を図る。

 懸案だった75歳以上の医療費は、単身世帯で年収200万円以上の人の窓口負担を1割から2割に引き上げることが決まった。

 少子化対策も大きな柱だ。

 保育所の「待機児童ゼロ」は今年度末の実現を目指していたが、達成できそうにない。来年度からの4年間で新たに14万人分の受け入れ先を整備する。

 問題は財源確保の手法だ。待機児童対策に必要な費用の一部は、児童手当の特例給付(子ども1人につき月額5000円)を高所得世帯で打ち切って捻出することになった。

 児童手当の支給基準となる年収を「夫婦どちらか収入の多い方」から「夫婦の合計」に切り替える案にも、今後の検討課題として言及している。支給総額の削減が狙いだ。

 子育て支援策の中でパイの奪い合いをしているようでは、「全世代型」の趣旨に反する。

 子どもを産みやすい環境を整備する政策は具体策に乏しい。不妊治療への公的医療保険の適用や男性の育児休業の取得促進が盛り込まれた程度だ。子どもが多い世帯への児童手当の給付拡充は先送りされた。大学など高等教育費の負担軽減は取り上げられなかった。

 日本の家族政策への支出は、国内総生産(GDP)比でドイツやスウェーデンなどより低いと指摘されていた。しかし、国全体の歳出構造の見直しには手が付けられていない。

 検討会議は安倍晋三前首相が看板政策として設置した。これで役割を終えるという。後を引き継いだ菅義偉首相は「全世代型への改革をさらに前に進めていく」と述べたものの、具体的なビジョンを示していない。

 25年以降は、少子化の影響で現役世代がますます少なくなる。働き手が減少し、介護サービスでは人手不足に拍車がかかると見込まれている。

 財源確保を含めて早急に対応することが、政府の責任だ。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

関連する特集・連載など

あわせて読みたい

注目の特集