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失態続く菅首相 当たり前の政治はどこへ

 危機感も緊張感も乏しいのではないか。新型コロナウイルスの感染拡大が一向に収まらない中、菅義偉首相の失態が続いている。

 観光支援策の「GoToトラベル」を全国一斉に一時停止する決断が遅きに失しただけではない。

 自民党の二階俊博幹事長やタレントら8人程度の夜の会食に出席した点にも批判が集まっている。

 専門家による政府の分科会は「5人以上の飲食で感染リスクが高まる」と注意を促してきた。しかも「勝負の3週間」と呼びかけていた最中である。

 インターネット番組に出演した際、冗談口調で「ガースーです」と愛称で自己紹介したのにも、あぜんとした人が多いだろう。

 若者の視聴者が多い点を意識したのだろうが、今、若者も含め国民が求めているのは、リーダーの心のこもった真摯(しんし)な言葉だ。

 毎日新聞が実施した直近の世論調査では、菅内閣の支持率は40%に急落し、不支持率(49%)が初めて上回った。「GoToトラベル」を「中止すべきだ」と答えた人は67%に上った。

 「GoTo」は菅首相が官房長官時代から自ら主導してきた支援策だ。「ぶれない」姿勢をアピールしてきただけに、そのこだわりが決断を遅らせた面は否めない。直前まで否定していた事業の一時停止に踏み切ったのは、実際には支持率の急落にあわてたことが大きな要因だろう。

 こうした首相の焦りに加え、気になるのは、首相に進言する人が内閣や自民党にいないのではないかという点だ。

 夜の会食などは加藤勝信官房長官や秘書官が一言、自重を求めれば済む話だったろう。その後の人事で不利益を被るのを恐れてものを言えず、首相も耳を傾けないとすれば、今後の政策決定はますます不安になる。

 菅内閣が発足して3カ月が過ぎた。首相は「国民から見て当たり前のことをする」と再三語ってきた。ところが国会の閉会中審査には出席していない。時間をかけて記者会見を開き、国民に丁寧に説明する機会も極めて少ない。

 世論の動向がつかめず、緊張感が薄らいでいるのは、そのためでもあろう。これでは「当たり前の政治」は遠のくばかりである。

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