「仲村わいん工房」(大阪府羽曳野市飛鳥)の醸造家、仲村現二さん(62)が畑にしゃがみ込み、ブドウの木々と対話をするような姿を度々見てきた。「『迷うたときは、ブドウに聞けえ』ってね」。父の遺言でもある。未明に畑に行き、答えに窮すると夜明けを待ち、納得がいかないと日中、夕暮れと続く。今季も畑へと通い倒す日々を送ってきた。
父光夫さん(2003年に80歳で他界)は65歳を機に羽曳野市小ケ谷(こかたに)地区の山の斜面約5000平方メートルの原野を開墾し、独自に交雑育種も繰り返した。そして約30年前、この畑に植えたルーツのわからない未知なる黒ブドウ(大阪RN―1)は、来春にも赤ワイン醸造用の黒ブドウとして正式に品種登録される。
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1991年入社、広島支局で原爆被爆者らの戦後課題、神戸支局で阪神大震災の被災者取材などを担当。大阪社会部を経て2008年~12年、南アフリカ・ヨハネスブルク特派員(アフリカ大陸担当)。帰国後、東日本大震災被災地の三陸支局(岩手)などに勤務。19年から大阪編集局編集委員。20年から専門記者に。1995年の阪神大震災をはじめ新潟県中越地震、スマトラ地震・インド洋大津波、東日本大震災、西日本豪雨、熊本地震など自然災害の被災現場やアフリカの紛争現場などを取材してきた。2008年度「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞。著書に「特派員ルポ サンダルで歩いたアフリカ大陸」(岩波書店)、「黄色いハンカチは揺れている 3・11三陸ノート/五年の伝言」(ビレッジプレス)など。1967年、静岡県生まれ。
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