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全国高校駅伝2021

2021年12月26日に京都市で開かれる男子第72回、女子第33回全国高校駅伝競走大会のページです。

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全国高校駅伝

頂点へ、逆境を力に 男子注目校

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 男子第71回、女子第32回全国高校駅伝競走大会(毎日新聞社など主催、SGホールディングス特別協賛)は20日、京都市のたけびしスタジアム京都(西京極陸上競技場)を発着点に男子が7区間42・195キロ、女子が5区間21・0975キロのコースで行われる。男女とも都道府県予選を勝ち抜いた各47校が出場する。新型コロナウイルス感染拡大で夏の全国高校総体など大会が相次いで中止・延期となる中で、選手たちは都大路に向けて懸命にトレーニングを続けてきた。大舞台に挑む注目校を紹介する。

連覇に向けて調整を続ける仙台育英の男子選手たち=宮城県多賀城市で、伝田賢史撮影 拡大
連覇に向けて調整を続ける仙台育英の男子選手たち=宮城県多賀城市で、伝田賢史撮影

仙台育英、王者の誇り

 前回優勝の男子・仙台育英(宮城)は、連覇を目標に都大路に乗り込む。

 「トレーニング以上に、人間性の成長が選手を強くした。新しい発見でした」。真名子圭監督も驚く快走だった。10月の県予選会では、コースが変更されたとはいえ全国優勝した前年を上回るタイムで6連覇。控え選手を中心に構成したチームで臨んだ東北大会でも優勝を果たした。異例ずくめの1年が、かえってチームの底力を引き出したのかもしれない。

 新型コロナの影響で、春先は各選手が岩手や愛知などの実家に帰省。活動再開後も平日夕方の練習時間が午後5時までと例年の半分程度に制限され、夏合宿も中止で「高度な練習はできていない」(真名子監督)。それでも、チームを支えたのは優勝校としてのプライドだった。5000メートル自己ベストがチーム日本人トップの白井勇佑(3年)は、自粛期間中も「いつ大会があっても結果が出せるように」と、地元・愛知県田原市の運動公園で一人、自分を追い込むスピード練習を続けた。

 目標だった全国高校総体や国体が中止になっても、山岸柊斗(しゅうと)主将(3年)は「夏前から都大路に向けて、距離を踏んだ練習を積むことができる」と前を向いた。真名子監督は「優勝校でもだめになってしまうのかと思われるのか、さすが優勝校と見られるか。どっちがいいんだと発破をかけ続けた」と明かす。

 一方、競技場でのトラック練習は、従来はマイクロバスを使って移動していたが、往復14キロの距離を走っての移動に変更。競技場ではスピード練習に専念するなど、環境に制約がある中での工夫も凝らした。

 女子も優勝候補の一角で、男女で連覇となれば史上初という快挙に挑戦する大会になる。「プレッシャーになるかなと思っていたが、コロナというもっと大きな壁を乗り越えようと頑張っていたら、いつの間にかなくなっていた」と真名子監督。大舞台で走れる喜びを表現する舞台となる都大路。その先に、栄光のフィニッシュテープが待っている。【伝田賢史】

ジョグを行う佐久長聖の選手たち=長野県佐久市で、皆川真仁撮影 拡大
ジョグを行う佐久長聖の選手たち=長野県佐久市で、皆川真仁撮影

佐久長聖、プラス発想

 日本選手だけで7年連続5位以内と屈指の安定感を誇る佐久長聖(長野)。今大会も優勝候補の一角に挙げられるが、新チーム発足時の高見沢勝監督の評価は「(本大会で3位だった)去年のチームに比べて力は全くない」。それでも、11月の県予選では大会記録を更新。飛躍的な成長を遂げたのは、コロナ禍という例年とは異なる過酷な環境をプラスに生かす逆転の発想からだ。

 県予選では2時間3分35秒をマークし、東京五輪マラソン代表の大迫傑(ナイキ)を擁して全国初優勝を達成した2008年の予選タイムを1分以上も更新した。これは全国でも7区間42・195キロの正規の距離を走ったチームの中では仙台育英に次ぐ2位の好タイムだ。

 コロナ禍で4月から休校となり、約1カ月半の間、全体練習ができなかった。その期間、選手たちは目標タイムを設定し一人だけのジョグを繰り返した。高見沢監督は「これが駅伝での単独走に生かされている」と言う。一人でもペースを保って走る習慣をつけることで、競り合う選手がいないことがある駅伝でも「最後まで粘って力を出し切れるようになった」という。これらが県予選での驚異的なタイムに結実した。

 また、「大会がないことでじっくり調整できた」と高見沢監督。全国高校総体(インターハイ)や記録会などレースは軒並み中止となり、例年は四つ出場する駅伝大会も今年は県予選の一つだけだった。エース・伊藤大志主将(3年)は「インターハイがなくなった時はかなり落ち込んだけど、それで目標を駅伝一本に絞れた」。その上で、「僕たちは駅伝部。駅伝にかける思いは他校よりも強い」と強調する。「陸上部」や「陸上競技部」ではなく「駅伝部」――。だからこそ、伊藤主将は「部員21人全員で戦いたい」と繰り返す。

 選手たちは「8位入賞」と手堅い目標を掲げるが、「それ以上の力はもちろんある」と高見沢監督。師走の都大路で集大成を披露する。【大東祐紀】

5年ぶりの優勝へ調整を続ける世羅の選手たち=広島県世羅町で、伝田賢史撮影 拡大
5年ぶりの優勝へ調整を続ける世羅の選手たち=広島県世羅町で、伝田賢史撮影

世羅、奪還へ日常改善

 「今大会に懸ける思いは誰よりも強い。自分が優勝の決定打になる走りをしたい」。出場50回目の節目を迎え、目標の優勝へと意気上がる世羅(広島)の選手たち。チームのエースでもある新谷紘ノ介主将(3年)が並々ならぬ決意を示すのには、理由がある。

 2年前の大会は1年生で5区を担い、トップでたすきをつないだが、優勝した倉敷(岡山)に逆転を許し14秒差で2位。雪辱Vを期して臨んだ前回大会だったが、1区の出遅れが響いて12位に終わった。アンカーを務めた新谷は「入賞すらできなくて、レース後は放心状態だった」と苦い記憶を振り返る。

 その日の夜の反省会。「優勝を逃したのは、この1年間で12個のミスがあったから。それを一つずつなくしていけば、1番になれるのではないか」といった指摘が出た。今季の自己ベストがチームトップレベルで、昨季は6区を走った塩出翔太(2年)は「練習への取り組み姿勢や生活態度など、何が足りなかったのを考え続けてきた」と振り返る。

 新宅昭二新監督は「駅伝は我慢比べの面もある。精神的に苦しい時に踏ん張る力は、日常生活でも鍛えられる」と説明。選手同士がミーティングで課題を指摘し合う姿を、一歩引いて見守り続けた。

 新型コロナの影響で春先は各選手が県内各地の実家に帰省し、自主練習となった。塩出は、同学年のライバル・森下翔太(2年)らと毎日のように練習内容を報告し合い「皆やっとるけん、自分もできる」と気合を入れた。全体練習再開後の6月、競技場を借りて実施したタイムトライアル(部内記録会)では、自己ベストを更新する選手が相次いだ。

 今季は5000メートル自己ベスト13分台の選手が日本人だけで3人。出場登録の10選手中9人までが14分30秒を切っている。新谷は「例年なら入れるタイムの選手が入れないほど、メンバーの競争が激しい」と話す。

 1950年の第1回大会から連覇するなど、大会の歴史に名を刻んできた。「今年を新たな起点にして、全国に世羅の名をとどろかせたい」(新谷主将)。地元の期待も背負い、5年ぶりのV奪還へ準備は整っている。【伝田賢史】


男子歴代優勝校

第1回 (50)世羅(広島)    △1.46.57

第2回 (51)世羅(広島)    △1.44.31

第3回 (52)玉名(熊本)     2.18.42

第4回 (53)筑紫野(福岡)    2.15.37

第5回 (54)筑紫野(福岡)    2.18.40

第6回 (55)飾磨工(兵庫)    2.17.52

第7回 (56)常磐(福岡)     2.16.57

第8回 (57)小林(宮崎)     2.14.10

第9回 (58)常磐(福岡)     2.14.07

第10回(59)西条農(広島)    2.14.27

第11回(60)小林(宮崎)     2.13.17

第12回(61)小林(宮崎)     2.13.40

第13回(62)福岡大大濠(福岡)  2.13.57.8

第14回(63)中京商(愛知)    2.12.46.6

第15回(64)盈進(広島)     2.10.10.0

第16回(65)福岡大大濠(福岡)  2.10.45.2

第17回(66)中京商(愛知)    2.09.28

第18回(67)中京(愛知)     2.11.09

第19回(68)小林(宮崎)     2.11.00

第20回(69)福岡大大濠(福岡)  2.10.08

第21回(70)相原(神奈川)    2.11.36

第22回(71)中津商(大分)    2.11.47

第23回(72)世羅(広島)     2.12.59

第24回(73)小林(宮崎)    ▲2.11.56

第25回(74)世羅(広島)     2.08.40

第26回(75)大牟田(福岡)    2.09.11

第27回(76)大牟田(福岡)    2.09.57

第28回(77)小林(宮崎)     2.10.43

第29回(78)小林(宮崎)     2.10.57

第30回(79)中京商(岐阜)    2.10.55

第31回(80)中京商(岐阜)    2.10.07

第32回(81)報徳学園(兵庫)   2.10.23

第33回(82)西脇工(兵庫)    2.08.46

第34回(83)報徳学園(兵庫)   2.07.04

第35回(84)報徳学園(兵庫)   2.08.05

第36回(85)報徳学園(兵庫)   2.06.43

第37回(86)市船橋(千葉)    2.06.30

第38回(87)埼玉栄(埼玉)    2.05.57

第39回(88)大牟田(福岡)    2.05.53

第40回(89)報徳学園(兵庫)   2.04.49

第41回(90)西脇工(兵庫)    2.05.44

第42回(91)大牟田(福岡)    2.06.47

第43回(92)西脇工(兵庫)    2.05.12

第44回(93)仙台育英(宮城)   2.05.25

第45回(94)西脇工(兵庫)    2.03.21

第46回(95)西脇工(兵庫)    2.05.20

第47回(96)報徳学園(兵庫)   2.05.08

第48回(97)西脇工(兵庫)    2.03.18

第49回(98)西脇工(兵庫)    2.03.32

第50回(99)仙台育英(宮城)   2.05.04

第51回(00)大牟田(福岡)    2.04.48

第52回(01)仙台育英(宮城)   2.03.46

第53回(02)西脇工(兵庫)    2.04.03

第54回(03)仙台育英(宮城)   2.02.07

第55回(04)仙台育英(宮城)   2.01.32

第56回(05)仙台育英(宮城)   2.05.04

第57回(06)世羅(広島)     2.03.18

第58回(07)仙台育英(宮城)   2.03.55

第59回(08)佐久長聖(長野)   2.02.18

第60回(09)世羅(広島)     2.04.09

第61回(10)鹿児島実(鹿児島)  2.03.59

第62回(11)世羅(広島)     2.03.50

第63回(12)豊川(愛知)     2.02.55

第64回(13)山梨学院大付(山梨) 2.03.53

第65回(14)世羅(広島)     2.02.39

第66回(15)世羅(広島)     2.01.18

第67回(16)倉敷(岡山)     2.02.34

第68回(17)佐久長聖(長野)   2.02.44

第69回(18)倉敷(岡山)     2.02.09

第70回(19)仙台育英(宮城)   2.01.32

 (タイム欄の△印は32キロ、▲印は41.795キロ、その他は42.195キロ。校名は大会当時)


男子歴代10傑◇

  学校        記録       大会

(1)世羅(広島)  2時間1分18秒 ★15年全国大会

(2)仙台育英(宮城)2時間1分32秒 ★04年全国大会

(2)仙台育英(宮城)2時間1分32秒 ★19年全国大会

(4)倉敷(岡山)  2時間1分35秒 ★19年全国大会

(5)仙台育英(宮城)2時間2分7秒  ★03年全国大会

(6)倉敷(岡山)  2時間2分9秒  ★18年全国大会

(7)佐久長聖(長野)2時間2分18秒  08年全国大会

(8)世羅(広島)  2時間2分23秒 ★18年全国大会

(9)佐久長聖(長野)2時間2分28秒  19年全国大会

(10)倉敷(岡山)  2時間2分34秒 ★16年全国大会

 (予選、地区大会を含む。★は留学生を含む記録)


NHKが生中継

 女子は午前10時5分、男子は午後0時15分からNHK総合テレビ、ラジオ第1で。

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