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篠弘さん 『戦争と歌人たち』

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篠弘さん=田中洋之撮影
篠弘さん=田中洋之撮影

 ◆篠弘(しの・ひろし)さん

 (本阿弥書店・1万1000円)

権力に抗った苦闘の歴史

 「ここにも抵抗があった」の副題どおり、戦時中の言論弾圧や情報統制の中、権力に抗(あらが)ってきた歌人たちの苦闘を描いた論考だ。毎日歌壇の選者をつとめる歌人の著者が、月刊誌『歌壇』でこの8年間に連載したものをまとめた。「近代短歌史を長年やってきて、すべての歌人が戦意高揚に協力してきたという通説がまかり通っているのを壊したかった」と狙いを語る。

 本書には北原白秋や与謝野晶子、土屋文明ら二十数人の歌人が登場する。国策に協力的だったとされる斎藤茂吉については、1940年3月の歌集『寒雲』から<リュクルゴスの回帰讃(たた)ふるこころにもなり得ず吾(われ)は子にむかひ居り>を引用。リュクルゴスは古代ギリシャのスパルタの伝説的立法者で「軍部が強要するスパルタ教育を自分の子らにさせる心もちにはなれない、という内容。世の中に知られていないカタカナの人…

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