知事選で相次ぐ保守分裂 推薦候補敗れ自民に危機感 複雑に絡み合う地元事情

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 「保守王国」と呼ばれる地域の知事選で「保守分裂」が相次ぎ、自民党は危機感を強めている。今年7月の鹿児島、10月の富山が分裂選挙となり、いずれも党本部や県連が推薦した現職が敗れ、新人が当選した。来年1月の岐阜、4月の秋田でも分裂含みだ。来年秋までに衆院選があり挙党態勢づくりは急務だが、世代間争いなど地元事情が複雑に絡み、しこりを残しそうだ。

 「長老支配の政治を変えたいと願っている声を真摯(しんし)に受け止める」。自民党の岐阜県連会長を務める野田聖子幹事長代行は11月24日、党本部での記者会見でこう述べた。

 野田氏が批判した「長老」とは、県連会長代行の猫田孝県議(80)。猫田氏は「岐阜政界のドン」と呼ばれ、半世紀近くにわたって県議を務める大ベテランだ。野田氏にとっては2005年の郵政選挙で党本部に「刺客」を立てられて苦境に陥った際、「県連公認」を出して支えてくれた恩人に当たる。しかし、次の知事選では真っ向から対立している。

 自民党の推薦を受けて4回当選を重ねた現職の古田肇知事は猫田氏ら県議側と距離を置き始めた。これを「議会軽視だ」と反発した猫田氏が元内閣府官房審議官の江崎禎英氏を擁立したためだ。猫田氏は既に政界引退を表明しており、知事選を「自身の仕事の総仕上げだ」と意欲を示す。

 一方、野田氏ら県選出の衆院議員5人は、これまで古田氏を支援してきただけに「筋が通らない」と次回も現職を支持する方針だ。岐阜は保守王国で、県選出の衆参議員7人すべてが自民党所属だ。党内には「保守分裂しても野党がつけ入るすきはない」(党幹部)との楽観論もある。だが、県連関係者は「禍根を残すのは必至だ。衆院選に向けた活動で一枚岩になれるのか」と警戒する。

 同じく保守王国の富山。10月の知事選は県連が推薦し、5選を目指した現職の石井隆一氏が、自民の森喜朗元首相や実姉の高橋はるみ参院議員、森雅志富山市長らが支援した新人の新田八朗氏に大敗した。その過程で自民系の県議会派が分裂し、宮腰光寛県連会長(元沖縄・北方担当相)が敗戦の責任を取って会長を辞任するなど余波が続いている。

 7月の鹿児島県知事選でも保守が分裂した。自民系県議らが支援した塩田康一氏が、自民、公明が推薦した現職の三反園訓氏らを破っている。

 党執行部は岐阜に加えて、菅義偉首相の出身地である…

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