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冬に増す「コロナ空気感染」の脅威 ウイルス研究者が説く「第3波」への正しい備え

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大阪府の「赤信号」点灯から一夜明け、マスク姿で通勤する人たち=大阪市北区で2020年12月4日午前8時31分、山崎一輝撮影
大阪府の「赤信号」点灯から一夜明け、マスク姿で通勤する人たち=大阪市北区で2020年12月4日午前8時31分、山崎一輝撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、政府が国民に対策の徹底を求めた「勝負の3週間」が過ぎたが、感染者の増加に歯止めがかからない。ウイルス感染症に詳しい国立病院機構仙台医療センターの西村秀一・ウイルスセンター長は、現状を「感染爆発の導火線に火がついている状態」にたとえ、冬場に危険度を増す「空気感染」への警戒を強く呼びかける。マスクの正しい使い方から、「GoToトラベル」停止の評価まで、気になる疑問をじっくりと聞いた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

「冬は怖い」 感染しやすく、重症化リスクも

 ――11月下旬以降、新型コロナの感染が急拡大し、重症者の数も増えています。勝負の3週間が16日に終わりましたが、その傾向は変わっていないようです。現状をどう見ていますか。

 ◆冬場の感染拡大は、予想通りです。感染爆発状態の米欧に比べれば踏みとどまっている方だと思いますが、決して楽観できる状況ではありません。例えるなら、爆弾の導火線の先に火がついてチリチリしているような状況でしょう。医療体制は逼迫(ひっぱく)してきており、何も対策を取らなければ爆発する可能性があります。

 ――冬場はなぜ感染が拡大しやすいのでしょうか。

 ◆せきや呼気に伴って口から出てくる粒子は、たんぱく質などの物質や水分を含んでいます。空気中に浮遊するこれらの粒子を「エアロゾル」と言いますが、乾燥すると粒子の大きさが小さくなっていきます。夏は高温多湿のため乾燥が遅く、粒子が大きいまま浮遊しているため、体内に取り込まれにくかったり、鼻や喉など上気道でとどまったりすることが多い。その場合は感染しても、鼻風邪程度や無症状で終わる可能性があります。一方、冬は湿度が低く、乾燥が早いため、短時間で粒子が小さくなる。エアロゾルがただよう範囲が広くなり感染しやすくなる上、小さいため肺の奥まで入っていきやすい。そうすると肺で病巣を広げ、重症化をもたらす可能性が高くなるのです。

 このほかにも▽冬は寒さのため、閉鎖的で「密」な環境にいる機会が増える▽寒さや乾燥によって、異物を排除する喉の機能が低下する――といった要因があります。総合すると冬は感染が広がり、重症化しやすいため「怖い」季節なのです。

「空気感染」に注意 正しい換気とマスク着用を

 ――冬場の感染対策で、特に気をつけたいことは何でしょうか。

 ◆「空気感染」です。これは空気を介した感染で、空中を浮遊する病原体を含んだエアロゾルを吸い込むことで起きる感染です。エアロゾルは、せきなどによる「…

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