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社説

長射程ミサイル開発へ 専守防衛変質させるのか

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 敵の射程圏外から攻撃できる長射程の巡航ミサイル「スタンドオフミサイル」を国産で開発することを、政府が決めた。弾道ミサイル攻撃を阻止するために敵の拠点をたたく「敵基地攻撃」に転用できる装備だ。

 その一方で、敵基地攻撃能力を持つかどうかについては結論を先送りにし、検討を続けるという。明確な判断を保留しながら、実態としてその能力を保有しようとしているように映る。

 政府は、沖縄県の尖閣諸島を念頭に、島しょ部に侵攻しようとする艦船などに対処するためだと説明している。

 地上発射型ミサイルの射程を大幅に延ばす。1000キロ近くになるとの見方もある。日本から北朝鮮にも届くことになる。

 政府は3年前、米国製などのスタンドオフミサイルの導入を決めた。戦闘機に搭載するものだ。

 国産で開発すれば、地上や艦船、戦闘機のどこからでも発射できるようになる。攻撃力は飛躍的に高まる。

 周辺国のミサイル技術が向上し、安全保障環境は厳しくなっている。これに応じて防衛力を整備する必要性はあるだろう。

 だが、他国に届く長射程ミサイルを保有することは、専守防衛を逸脱するおそれがある。

 政府はこれまで、敵基地攻撃能力について、他に手段がない場合に限り、自衛の範囲内だと解釈してきた。ただ、専守防衛の観点から、歴代内閣はそのための装備を持つことを見送ってきた。長射程の巡航ミサイルも保有することは考えていないと答弁してきた。

 ところが、政府は今回、議論を積み重ねることなく、突然閣議決定し、予算を追加要求した。

 日米安全保障条約の下、日本は守りの「盾」、米国は打撃力の「矛」としてきた役割分担の見直しにもつながりかねない。専守防衛をなし崩しで変質させることは許されない。

 計画を撤回した陸上配備型迎撃ミサイルシステムの代替策についても、詳細を詰めないままイージス艦2隻を新造すると決めた。

 防衛政策の根幹に関わる問題であるにもかかわらず、徹底した議論や国民の理解を得るというプロセスがなおざりにされている。

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